数量化に徹した割安株狙いのバリュー投資家、ベンジャミン・グレアムの投資に学ぶ「マネーマスターズ列伝」のススメ

本棚の画像株の勉強

前回、「マネーマスターズ列伝」より「フィリップ・フィッシャー」を紹介した。

今回は、企業の質的な面や経営者の特徴などに一切かまわず、ただひたすらにバランスシートの数字だけを捉えて株式投資に臨んだ「ベンジャミン・グレアム」について紹介したい。

バランスシート以外は不要

グレアムの投資手法を「マネーマスターズ列伝」では、以下のように述べている。

グレアムは引退するまでたえず、客観的で説明しやすく、しかも安全で有利な投資方法を追求し続けた。つまり、社会の動向とか、新製品に託した企業の将来性とか、経営者の質とかいった、誰にも十分に把握しきれぬものには頼らない、完全に数量的な手法である。

「マネーマスターズ列伝」より引用

グレアムは誰もが手に入る公表された資料のバランスシートをもとに、誰もが使える安全に有利な投資方法を生み出した投資家である。その投資方法の詳細はグレアム著書の「証券分析」や「賢明なる投資家」に載っている。

「マネーマスターズ列伝」では、一般的の人でグレアムの投資方法を知りたいのであれば「賢明なる投資家」のほうを読むことをオススメしている。

投資と投機

「投資」と「投機」の違いについて、グレアムは以下のように述べている。

投資は徹底的な分析に基づくべきもので、元金の安全性と満足のゆく収益が約束されなければならない。これらの要素の一つでも欠ければ、株式や債券を所有しているといっても、投資とはいえず、投機に堕す。

「マネーマスターズ列伝」より引用

「ろくに調べないで株を買う」という過ちが、株式市場ではよく見受けられる。だからこそ、株式市場では投資対象の企業が妥当とは思えない値段で取引されることがある。こういったときが「投資」と「投機」の違いを知っている真の投資家にとっては、絶好の投資チャンスとなる。

ミスター・マーケット

「業績が悪く、短期見通しも暗く、全体的に悲観ムードが漂っていて株価が低いとき」、こういうときこそが株を買うときのチャンスであるとグレアムは言っている。

だが、その一方で「業績が良く、短期見通しも明るく、全体的に楽観ムードが漂っていて株価が高いとき」や、相場が激しく動いているときに真の投資家はどのような態度を取るべきなのか。グレアムは、以下の譬え話を使って見事な説明をしている。

仮に、あなたが、ある会社の株を持っているとしよう。そして、その会社にはミスター・マーケットという名前の、温和だが常軌を逸したところのあるパートナーがいるとしよう。毎日、彼は朝ベッドの左右どちら側から起きたとか、その時に希望か心配かどちらかを感じたとかによって株価を決め、その値段であなたの株を買い戻したり、手持ちの株をあなたに売ろうとしたりする。そんなことはほとんどの場合無視していいのだが、ただ、”マーケット氏”が持っている情報をあなたも同様につかんで、冷静に検討し、彼の提案する価格が途方もなく高いか低いかについて注意を払っておく必要がある。もしも価格が有利であるなら、その時に限って彼の提案を受け入れれば良い。真の投資家は、「それ以外の時には相場のことなど忘れてしまって、ただ配当金と企業の業績面にだけ関心を向いているべきだ」とグレアムは結んでいる。

「マネーマスターズ列伝」より引用

株価が上がったからといって買ったり、または下がったから売るということは避けるべきである。そして「大幅な値上がり直後の買い、大幅な値下がり直後の売りは絶対にしてはいけない」とグレアムは述べている。

グレアムの投資テクニック

グレアム著書の「証券分析」を読めば、ある程度の勉強好きな投資家なら誰でも割安株発掘のテクニックが分かるようになる。

同署には、業種別に在庫回転率、運転資本比率、設備対売上比率、営業利益率などの重要な分析項目が豊富な表や公式の形で紹介されているからだ。だが「証券分析」が世に出て60年以上経ち、グレアムだけの心理だったものが万人の心理となってしまい、グレアムの投資テクニックが通用しなくなってきた。このことをグレアムは、76年に行ったセミナーで以下のように述べている。

証券分析の精緻なテクニックが有利な投資対象を見つけるのに有効であることは、もはや主張するつもりはない。たしかに有効な時代もあった。しかし、それも”グレアムとドット”をテキストとして出版した頃、つまり四十年も前のことであり、それ以来情況はまったく変わってしまった。当時は、修行を積んだ証券アナリストなら誰でも、データを徹底的に分析していくことによって割安銘柄の選択ができ、専門家として恥ずかしくない好成績を残すことができた。しかし、厖大な量の調査が行われている今日、そのような方法がコストの面でも採算に乗るだけの成果を生むかどうか、はなはだ疑問である。

「マネーマスターズ列伝」より引用

グレアムの投資テクニックだけでは、満足のいく好成績を残すことが難しくなってきている。しかし、グレアムの投資を学ぶことは無駄ではないと僕は考えている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました