国勢調査員の友人に気付かされた仕事のモチベーションと生きていく術とは

感謝の祈りをする少女 仕事

働く動機ってどういうものがあるのだろうか。ドラッカー教授の名著「現代の経営」にある中世ヨーロッパ時代の逸話にこのような物語がある。

ある人が工事現場の脇を通りかかり、汗を流して働いている数人の石工に、「何をしているのか」と問いかけました。
一人目の人は、こう答えました。「これで食べている」と。
二人目の人は、手を休めずに答えました。「国で一番腕のいい石工の仕事をしている」と。
最後の一人は、目を輝かせて答えました。「教会を立てている」と。

現代の経営より

中世ヨーロッパ時代の花形職業である石工達も、人によって様々なモチベーションで仕事をしている。

もし、手を休めずに「国で一番腕のいい石工の仕事をしている」と答えた石工や、目を輝かせて「教会を立てている」と答えた石工が現代に来たとしたらどうなるのだろう。

自分の仕事がロボットや機械・人工知能に置き換わり、より早く、より正確に、よりきれいに仕事ができるようになったと知ったらどうするのだろう。

現代にやってきた石工に「何をしているのか」と問いかけてみらたら、こう答えるのかも知れない。「小銭を稼ぐために働いているのだ」と。

国勢調査員の愚痴

年齢が僕よりも2回りほど上で国勢調査員をやっている友人と飲む機会があった。その友人が、安さが売りの居酒屋でジョッキに並々に注がれたハイボールを片手にこう言っていた。

「ちょっとしたお金欲しさにアルバイト感覚で国勢調査員の仕事をしていたんだけど、この仕事はきつくて面倒くさいんだ」

「相手が殴り掛かってこない無抵抗な人間だと知っているのに、自分の信念や正義を主張してくる人の相手をしてみてごらん、本当に付かれるから」と

友人がやっている国勢調査員の仕事というのは、1件1件民家を訪問し国勢調査の協力を依頼することだ。ほとんどの人は、「はぁ、はーい」とした感じで国勢調査の書類を受けってくれる。

ただ中には、「何でこんな意味のないことをするんだ。時代に合っていない。税金の無駄遣いなんじゃないの?」と言ってくる人もいるそうだ。僕も密かに、この意見には同感なんだけど。

国勢調査員の友人は、「こういった意見も十分理解できる。けれど、何の権限も持たない僕に対してこんなこと言われても何にも出来ないじゃん」と。

自分の信念や正義を振りかざす人は、訪問にきた国勢調査員には何の権限もなく反撃もすることが出来ない無抵抗な人間だと分かっている筈だ。でも、言葉の攻撃を止めることはない。

「こういう人に当たると、本当にきつくて面倒くさいんだ」と、友人は言っていた。

でも、本当に少数だけど「お疲れ様、ありがとう」と労いと感謝の言葉をかけてくれる人達もいる。

こういう人達に出会うと、「小銭稼ぎが目的で誰にでも出来るような、近い将来に人口知能や機械に奪われるような仕事をしている不安だらけの僕の心を癒してくれるんだ。くだらない仕事もこういった言葉に助けられて頑張れるものなんだな」と。

仕事と仕事以外

仕事って食事と似ていると思わない?

人が生きていくためにはご飯を食べる必要がある。一人で効率的に必要なエネルギーをかきこむような食事もいいけど、愛する嫁や家族・恋人と、気の許せる友人とお酒を飲み話ながら食べる食事も楽しいものじゃない。

徹底的に無駄を省いた利益中心の現代の労働社会で、仕事にこのような楽しみを求めるのことは贅沢と言うものなのだろうか。

僕がこの国勢調査員の友人と話しをしていて、気が付いた事が2つある。

誰にでも出来るきつくて面倒くさい仕事でも、視点を変えることによって違う景色が見えると言うこと。自分を傷つける人は無視して、自分を労わって感謝してくれる人に焦点を合わせる。そうすれば、くだらない仕事でも心を癒しながら働くことが出来る。

そしてもう1つは、周囲に感謝の言葉を投げかけるということ。「ありがとう」という言葉は、仕事をしている人の心を癒すことが出来る。特に、誰にでも出来るきつくて面倒くさい仕事をしている人の心は癒される。

もしかしたら、この行為は「弱い者通しの傷の舐め合い」かもしれない。でも、別にいいんじゃない。傷というものは、誰かが癒し治してあげるものだろう。弱い者の傷は、自分の力だけで直すのは難しい。傷を舐め合い、少しでもその傷が癒えるのなら問題ない話じゃん。

仕事の目的はお金でも

もし僕やあなたが仕事の目的はと聞かれたら、胸を張って「お金のため」と答えよう。そして、心の中でこう言うのだ。

「仕事以外では、名医のように人の心を治している。感謝の言葉を武器に、高額の医療費を請求せず医師免許を持たないモグリの医者ブラック・ジャックのように」と。だったら、お金のために仕事をしていると片意地を張って答えてもおかしくはないだろう。そうは思わないかい。

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