株式投資でファンダメンタル分析は有効なのか?「ウォール街のランダム・ウォーカー」

株の本のイメージ株の勉強

株式投資の本を読むと、大抵の本には企業の売上や利益などが記載されている財務諸表というものの見方を教えてくれる記載がある。

なぜ、この記載があるのかというと、今後の株価が上がりそうな企業を選ぶために必要な技術である「ファンダメンタル分析」という手法を説明するためだ。

だが「ファンダメンタル分析」について、アメリカの経済学者で「ウォール街のランダム・ウォーカー」の著者であるバートン・マルキールは、以下のように述べている。

学者の中には、目隠しした猿にウォールストリート・ジャーナルの相場欄めがけてダーツを投げさせて銘柄を選んでも、プロのファンド・マネージャーと同じくらいの成果が得られる、とまで言う者もいる。ファンド・マネージャーと彼らの信頼するファンダメンタル・アナリストの銘柄選択能力は、投資のアマチュアと大して変わらないというのが、学者側の意見である。

「ウォール街のランダム・ウォーカー」より引用

ファンダメンタル分析を学んでも、目隠しした猿と同じ成果しか挙げれない。もし、そうであればファンダメンタル分析から何を学ぶ必要があるのだろうか?

そのことについて、「ウォール街のランダム・ウォーカー」の本の中に説明があった。ので、今日は、その内容を紹介したい。

また、前回の記事で「ウォール街のランダム・ウォーカー」より「株式投資でのテクニカル戦略はバイ・アンド・ホールド戦略に敵わない」という内容を紹介している。興味があれば、以下を参照して欲しい。

将来の利益予想は、占いと同じなのか?

将来の利益予想をすることは、株式投資で成功するために最も重要な要素である。そして、将来の利益予想するためにファンダメンタル主義者たちは「過去の利益推移」を最重要視する。

なぜなら「過去に実現された利益成長は、将来の利益成長を占う上で、最も信頼できるもの」と考えているからである。

だが「ウォール街のランダム・ウォーカー」では、過去の実績を分析したとしても、それが将来の予想につながることはないと述べている。

あなたが世の中のすべての会社について、1980年から90年までの期間に実現された成長率を知っていたとしても、90年から2000年の期間に達成された成長を当てることはできなかったに違いない。同様に、90年代の高成長企業についていくら知っていても、それは、2000年代初めの高成長企業を見つける助けにはならなかったのだ。

この驚くべき事実は、まずイギリスの研究者によって報告された。研究対象となったのはイギリスの企業であり、論文は「規則性のない利益成長」という魅力的なタイトルがつけられていた。この論文を聞き知ったプリンストンとハーバード大学の学者たちが、イギリスでの研究と同じことをアメリカ起業について行ったところ、驚いたことに結果は全く同じであった。

「ウォール街のランダム・ウォーカー」より引用

例えば、1980年代に最も偉大な企業とされていたIBMは、その成長を2000年まで続けることは出来なかった。

また、継続的に高い成長を遂げていたポラロイドやコダック、セロックスなどは、ある日を境にして急激にその成長力を失ってしまった。

企業の過去の経営実績と将来の成長の間には、因果関係は見られない。そのことの証明として「ウォール街のランダム・ウォーカー」では、以下のことを述べている。

実際に、1990年代の長期繁栄の時期ですら、毎年安定的に成長率を維持した大企業は8社に1社の割合であった。また、その中で2000年代に入ってからも高成長を維持した企業となると1社もなかった。

ファンダメンタル主義者たちが、過去業績から長期間一貫して高成長を続ける企業を探し出したとしても、それは無理な話である。なぜなら。そんな会社は1社もないからだ、と。

最後に、ファンダメンタル分析を仕事にしているアナリストと、それに対する学者の意見を紹介しておきたい。

真面目なアナリストは、「われわれがやっているのは、単なる過去の調査・分析にとどまらない」と反論するに違いない。実際、アナリストの中には、過去の実績は必ずしも将来の完全な測度ではないことを認める者もいるが、有能なアナリストは高い予想能力を持っていると主張する。

残念ながら、証券アナリストが産業分析や工場見学に基づいて注意深く行った予想も、単純に過去を延長した結果とほとんど変わらなかったのある。ところが、すでに見てきた通り、過去の延長は何の役にも立たない。実のところ、かなり簡単な手法を用いても、証券アナリストによる予想値より実際の成長率に近い答えを求めることができた。こうした事実はいくつもの実証研究によって確認されている。こうして見ると、アナリストによる業績予想というのは、どうも占星術よりお粗末なもののようだ。

「ウォール街のランダム・ウォーカー」より引用

効率的市場理論とファンダメンタル分析

「ウォール街のランダム・ウォーカー」が、株式投資について言いたいことを纏めてみると、以下の通りである。

『企業の利益や配当の期待成長率に関する情報や、その他のファンダメンタル・アナリストの分析対象となるようなものはすべて、株価に適正に織り込まれている。

したがって、市場平均と同じ組み入れ内容のポートフォリオでも、プロのアナリストたちに従って運用するものと変わらないパフォーマンスを上げることができる』、ということだ。

このことは、効率的市場理論と呼ばれている。そして「ウォール街のランダム・ウォーカー」では、効率的市場理論について、以下のような意見も述べている。

効率的市場理論とは、一部の批判者がふれ回るように、株価がファンダメンタルの情報の変化におかまいなく、ただランダムにふらふらと動くものだと主張しているわけではない。実のところ、この理論の要点はまさにその逆なのだ。株価が新たな情報に対してすばやく反応するがゆえに、それに基づいて継続的に利益を得られる投資家はいないということなのである。重要な新情報は定義的にランダムに発生し、予測不可能なのだ。それはいくら過去のテクニカルな、あるいはファンダメンタルな情報を研究してみても予見できない。

「ウォール街のランダム・ウォーカー」より引用

現在の株式市場は、多数の優秀な人々が、過大評価されている銘柄を売ったり、過少評価されている株式を買ったりする機会を常に探し回っている。

その結果、株価は将来の見通しを適正に割り引いた価格で取引されることになる。

そんな状況下では、自ら積極的に銘柄選択を行わずとも、現在の株価で購入する。それだけで、様々な情報を分析したプロの投資家と全く変わらない結果となる。

このような状況下で、ファンダメンタル分析の父と呼ばれたベンジャミン・グレアムは、以下のことを語っている。

もはや、どんなに精巧な証券分析テクニックを用いても、他人より優れたリターンを得ることはできないのかもしれない。こうしたテクニックは、『証券分析』の本が最初に出版された40年前には確かに実りの多い行為だった。しかし、状況は変わってしまった。……(今日では)多大な努力を費やして分析を行ったとしても、そのために必要なコストに見合った銘柄選択の効果を上げられるかどうかは疑問だ。……私の意見は、「効率的市場理論」学派に近いと言えるだろう。

「ウォール街のランダム・ウォーカー」より引用

この効率的市場理論は、伝説的なアクティブファンド・マネージャーであるピーター・リンチも認めている。

そして何より、「株式投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットも『ほとんどの投資家は積極運用タイプの投資信託に投資するよりは、インデックス・ファンドを購入した方が長期平均的には大きく報われる』と語っている。

最後に

株式投資をする目的は、「お金持ちになりたい」「経済的な自由を得たい」ということだろう。

そのためには「インデックス・ファンド」を買うこと。これが、最もリスクが低くコスパの良い投資方法であると「ウォール街のランダム・ウォーカー」では述べている。

ただし「インデックス・ファンド」は、リスクが低い分「お金持ちにる」「経済的な自由を得る」ために時間がかかるという欠点がある。そのため、なるべく早い時期から始めるのが良いとされている。

このことは、アメリカの投資家で、実業家でもあるロバート・キヨサキは「投資でお金を失うことに対する恐怖心をどうすれば良いのか」でも言っている。興味があれば、以下を参照して欲しい。

株式投資でお金持ちになることは簡単である。ただし、それ相応の時間がかかるということは忘れてはいけない。と、僕は思う。

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