朝起きて、仕事場に向かう。仕事場の最寄りの駅に近づくと、いつもこう思ってしまう。「このまま降りずに、山手線をもう一周しようかな」と。
僕の同期の何人かは、実際に駅から降りることができなくなってしまった。いつか僕もそうなるのだ。と、嫌でも考えてしまう。
ただ、お金のためだけに働いているのだけなのに。つくづく、リターンが少なくリスクが大きい生き方をしていると思ってしまう。
そんな時に、どのようにすれば救われるのだろうか?
僕は、その答えをアメリカの投資家で実業家でもあるロバート・キヨサキが書いた「金持ち父さん貧乏父さん」の本のなかで見つけた。
「金持ち父さん貧乏父さん」に興味がある方は、以下を参照して欲しい。
「金持ち父さん貧乏父さん」を読んで、僕は株式投資をしようと思った。単純すぎて申し訳なくなるけど、この単純さが僕の良い所なのだと思う。多分。
でも、株式投資は財産を失う恐れがある投資だ。バブルが弾けて、大損した人たちの話を聞くと、株式投資に対して二の足を踏みたくなる。
そんなバブルについて、「投資のバイブル」として有名な『ウォール街のランダム・ウォーカー』という本の中に、記録に残された最初の投機バブルとして有名な「オランダのチューリップ・バブル」についての記載があった。ので、今日はその内容を紹介したい。
また、前回の記事で「ウォール街のランダム・ウォーカー」より『株式投資の二大理論「ファンダメンタル」と「砂上の楼閣」を知ろう』という内容を紹介している。興味があれば、以下を参照して欲しい。
オランダのチューリップ・バブル
オランダのチューリップ・バブルは、人類の歴史上で最もすさまじい、お金への欲に駆られた投機ブームの一つである。
このバブルの発端は、1593年にウィーンからオランダのライデンに着任した新米の植物学の教授が、チューリップというトルコ原産の珍しい植物の球根を持ち込んだところから始まった。
このきれいな花が咲くチューリップ人気は、オランダの国中でゆっくりと蔓延していった。そして、チューリップ球根商人たちが、値が上がるのを見込んで、大量の球根を仕入れるようになった。
チューリップの球根の値段は、見る見るうちに上がり始めた。そして、値段が高くなればなるほど、チューリップは確実に儲かる投資対象と見られるようになった。
この当時の様子を「ウォール街のランダム・ウォーカー」では、以下のように紹介されている。
たかが球根の値段がこれ以上上がるわけはないと、最初は馬鹿にしていた分別のある人たちも、友人や身内が巨大な利益を上げるのを目の当たりにして、くやしがったものだ。自分たちもゲームに参加したいという誘惑に打ち勝つのは、並大抵のことではなかった。チューリップ・バブルのピークは、1634年から1637年にかけての数年間だったが、その頃になると欲に目をくらんだ人々は、土地、宝石、家具などと引き換えにしてまで、何とかチューリップの球根を手に入れようとしたのである。こうしてチューリップの球根は天文学的な高値で売買されるようになった。
「ウォール街のランダム・ウォーカー」より引用
投機の陰にコール・オプション
少ない元手で巨額の投資を行うことが出来る手法として「コール・オプション」という手法がある。
オランダのチューリップ・バブルでも、「コール・オプション」という手法が使われた。その手法について、「ウォール街のランダム・ウォーカー」は以下のように述べている。
コール・オプションとは、その持ち主にあらかじめ決めらた価格(通常は市場実勢に近い価格)で、一定の期間中に、チューリップの球根を買える権利を与えるものである。オプションを購入する人は、市場価格の15%から20%に当たる額を、オプション・プレミアムとして支払うことになる。例えば、現在100ギルダーのチューリップの球根をこの値段で買えるコール・オプションが、20ギルダーで購入できるとしよう。もしこの球根の値段が200ギルダーに上昇したとすると、コール・オプションの持ち主は当然オプションを行使する。つまり、その人は球根を100ギルダーで買うと同時に、市場で200ギルダーで売るのである。そうすることによってたちどころに、100ギルダーの値上がり益からオプションの購入のために支払った20ギルダーを差し引いた80ギルダーを、利益として得ることができる。
「ウォール街のランダム・ウォーカー」より引用
これによってオプションに投資した人は、元本を5倍に増やすことができる。が、もし直接現物を売り買いするだけなら、元本は2倍にしか増やすことが出来ない。
コール・オプションとは、レバレッジをかけて投資する手法である。この手法を用いることで、投資のリターンを莫大に増幅させることが出来る。
だが、このような手法の導入は、疑いもなく投機への参加者の裾野を広げる役割を果たす。そのように、「ウォール街のランダム・ウォーカー」では述べている。
誰も逃げきれなかった
チューリップ・バブルは、1637年1月にチューリップの球根が20倍に跳ね上がった後、2月にはそれ以上の幅の下落となり、終焉を迎えた。
どんな投機熱の時でもそうだが、価格があまりに高くなりすぎると、一部の人たちがここらあたりで売っておいたほうが賢明だと考え始める。すると他の人たちがこれに続く。
こうなると後は急な坂を転げ落ちる雪だるまのようなもので、価格の下落は加速がつき、わずかな間にパニック状態に陥るのである。
バブルについて「ウォール街のランダム・ウォーカー」では、このように述べている。
また『オランダのチューリップ・バブル』だけでなく、『イギリスの南海泡沫会社のバブル』、『アメリカの古き良き時代のブルーチップ銘柄にまつわるバブル』についても、「ウォール街のランダム・ウォーカー」に記載されいている。
そして、こうしたバブルの事例を知っていることは「投資家が身を守る上で大きな参考になる」と述べられている。
最後に「ウォール街のランダム・ウォーカー」では、市場で損をするという人を以下のよう人だと語っている。
私の個人的経験から言うと、市場で常に損をする人たちといいうのは、大小様々なチューリップ・バブルの魅力に抵抗できないタイプの人たちである。株式市場で金儲けすることは、実際、それほど難しいことではない。むしろ難しいのは、短期間に手っ取り早くお金を儲けられそうな投機に、お金をつぎ込みたくなる誘惑を振り払うことのほうである。
「ウォール街のランダム・ウォーカー」より引用
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