短期勝負の戦略的トレードで成功したヘッジファンドの帝王、マイケル・スタインハートの投資に学ぶ「マネーマスターズ列伝」のススメ

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前回、「マネーマスターズ列伝」より「フィリップ・キャレー」を紹介した。

今回は、短期勝負の戦略的トレードで成功したヘッジファンドの帝王「マイケル・スタインハート」について紹介したい。

好成績のカギ

マイケル・スタインハートが主催するヘッジファンド「スタインハート・パートナーズ」に1967年のスタート時に1万ドル投資した場合、20年後には、運用手数料を差し引いても100万ドル以上の利益を上げることになる。この成績は複利で年率27%であり、20年間の投資記録としては史上最高レベルである。

なぜ、スタインハートがこれほどの成績を挙げられたのだろうか?そのカギの1つは、ウォール街の証券会社との付き合い方である。

スタインハートは、ウォール街の証券会社に年間何千万ドルにものぼる莫大な手数料を支払っている。これだけの手数料を支払っていればウォール街が作っているあらゆる資料(企業分析レポート、景気観測、諸外国の経済見通しなど)を手に入れることが出来る。が、そういった資料をスタインハートは使わない。

スタインハートは、証券会社の情報が誰よりも先に自分のところに来るようにするためにウォール街に莫大な手数料を支払っているのだ。例えば、ウォール街の有力な証券会社のチーフアナリストが業績予想を修正する場合、その「第一報」がまず自分の所にくるようにしている。

よく新聞で「某相場師がテキサス・インスツルメンツの業績好転を予想」などと報道されたとき、同社の株価はすでに相当上がってしまっていることがある。そういったニュースはスタインハートや第2、3のスタインハートにとっくの昔に伝えられており、相場が作られたものとなっている。

トレード手法

スタインハートのトレード手法について、「マネーマスターズ列伝」では以下のように述べられている。

スタインハートにとっては、競馬のギャンブラー同様、今日現在の短期勝負こそが現実である。ウォール街の調査マンお得意の長期投資なるものはあの世の話、夢物語と変わらない。トレーダー、スタインハートは5%、10%、15%とほんのわずかなサヤを繰り返し抜いていられさえすれば幸せである。株を買って塩漬けにし、いつ実現するかも分からない出来事を何年も待ち続けることなど、とうてい彼の趣味には合わない。

「マネーマスターズ列伝」より引用

スタインハートがIBM株に手を出した話がある。

1983年にIBMを107ドルで購入した。買い付け後、株価は少し動いて15ドル値上がりした。大方の投資家なら、上がり方の鈍さに文句を言い、結局そのまま放っておく。やがて株価が120ドルまで下がり、さきの値上がりはほぼ消えてしまう。ここになって、「やってしまった」と後悔するのが一般的な投資家だ。

だがスタインハートなら、どのようにしたのだろうか?彼は132ドル近辺に株価が上がった時点で全株売却する。そして、一連の取引を完結するにあたり、売却後さらにIBM株を空売りし120ドルに下がる過程で買い戻すのだ。

買い・売りの戦術

スタインハートが株の買い・売りの戦術について、以下のことを述べている。

買い建ての候補銘柄としてはPERが低い不人気株、回復の可能性がある出遅れ株が狙い目です。逆に空売りでは、アメリカで著名な企業、つまり買い人気のつきやすい銘柄を相手にする。人気銘柄、機関投資家銘柄が対象です。ちょうど買いの場合と反対で、PERが高く、機関投資家の買いが株価をかなり押し上げているものの、期待の実現はまずないと考えられる銘柄です。

「マネーマスターズ列伝」より引用

ただし、スタインハートは売りについて以下のことも言っている。

ただ私がいつも悩むのは、機関投資家のそうした投機的期待がいつ挫折するかのタイミングを読む難しさですね。投機的な期待があるところには必ず、それに対して空売りするチャンスがあります。しかしそこでは辛抱強く持ちこたえること、苦しみに耐えぬくことが肝心です。

「マネーマスターズ列伝」より引用

もし、マイケル・スタインハートに興味が湧いたなら「マネーマスターズ列伝」以外にも、スタインハートの投資哲学やテクニックがより深く書かれている「ヘッジファンドの帝王」を読むことをオススメする。

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