株式投資で成功するためにはどうしたら良いのか?
その答えとしてアメリカの経済学者であるバートン・マルキールが、その著書である「ウォール街のランダム・ウォーカー」で以下のように述べている。
本書を世に出してから、45年以上の歳月が流れた。初版の中で私が発したメッセージは、「個人投資家にとっては、個々の株式を売買したり、プロのファンド・マネージャーが運用する投資信託に投資するよりも、ただインデックス・ファンドを買ってじっと持っているほうが、遥かによい結果を生む」という単純明快なものだった。株式市場を構成する幅広い銘柄からなるポートフォリオを買ってじっと持っているほうが、高い運用コストと頻繁な銘柄入れ替えに伴う売買手数料で投資家のリターンを確実に目減りさせる、プロの運用する投資信託に打ち勝つ可能性が高い、と主張したのだ。
「ウォール街のランダム・ウォーカー」より引用
『オルカンを買って持ち続ける』この投資戦略で、素人がプロの運用するアクティブファンドの多くを上回るリターンを上げることが出来る。
僕が株式投資を始めた20年前には、広く分散されコストの安いオルカンみたいな優秀なインデックスファンドは存在しなかった。株式投資家にとって何と良い時代になったのだろう。
だけどその完璧にも思えるインデックスファンドの弱点があると、ジェレミー・シーゲル博士の著書である「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」と述べている。
わたしは半世紀を遡り、当時のニューヨーク証券取引所の上場銘柄から時価総額上位20銘柄を拾い出して、長期のリターンを算出した。配当は再投資し、交付された株式もすべて保有することを前提としたリターンだ。
中略
「時価総額上位20銘柄」の運用成績は、市場平均に連動させて運用した場合の成績を上回っていた。市場平均には、その後登場した新興企業、新興業界の銘柄がすべて含まれている。
「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」より引用
「S&P」や「日経平均」などの株価指数は、時価総額や流動性・浮動株の比率・業績などが考慮されて銘柄の組み換えが行われる。
簡単に言えば、勢いの無くなった企業や業界は「S&P」や「日経平均」などの株価指数の算出先から外され、飛ぶ鳥を落とす勢いの成長率が高い新興企業や業界が代わりに組み込まれる。
ここで問題となるのは、こうした新興企業は株価が非常に高い状態で「S&P」や「日経平均」などの株価指数に組み込まれてしまうことなのだ。
この問題について、シーゲル博士は以下のように述べている。
成長率が高いだけでは、リターンは高くならない。ただ高いだけでなく、投資家が株価に織り込む、たいていの場合は楽観的すぎる予想を上回らなければならない。成長の罠が、投資家と投資の成功とを隔てる大きな障壁であることはあきらかだった。
「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」より引用
シーゲル博士はインデックスファンドについて、バカ高い株価で成長率が高い新興企業や業界へ投資してしまうことが問題となりリターンを押し下げてしまうことがある。そして、その下げ具合というのは「勢いの無くなった企業や業界」への投資して保有し続けるものよりも低いモノとなってしまうこともあると述べている。
オルカンみたいなインデックスファンドが登場する前に株式投資を始めた僕は、「勢いの無くなった企業や業界」へ投資して保有し、またそこから生まれる配当金を再投資に充ててきた。それで今では、配当金だけで慎ましい生活を送っている。
株式投資において、オルカンみたいなインデックスファンドはかなり優位性の高い投資だということは疑いはないだろう。けれどシーゲル博士が述べている投資方法も、僕はかなり優位性の高い投資方法だと思っている。
コメント