企業の株を買う際にPERやPBR、キャッシュフローの状況を確認して株を買うことが多い。株を買う指標として分かりやすいし、株にハマって数年経った中級者くらいころは強くPER・PBR・キャッシュフローを意識して買っていた。
だが、最近では企業のシェア率(市場占拠率)というものも強く意識するようになってきた。なぜなら、シェア率(市場占拠率)は企業間における販売競争の優劣に大きく関わるからだ。
販売競争に強い企業は長期間に渡って売上や利益を伸ばし株主に貢献してくれる、まさに永続的競争優位性を持つ企業と言える。このことはパソコンのOSシェアトップのMicrosoft、スマホ市場で高いシェアを持つiPhoneを作っているAppleを見てれば一目瞭然である。
では、実際にどれくらいのシェア率があれば企業として優位性が発揮できるのだろう。
シェア率とその優位性について「ランチェスター戦略の基本がわかる本」のなかで具体的に説明されているので、その内容を紹介したい。
ランチェスター戦力とシェア率
ランチェスター戦力とは、イギリスのフレデリック・ウィリアム・ランチェスターが勝ち方に関するルールを研究し分かりやすくまとめたものだ。
このランチェスター戦力では、企業間における販売競争の優劣とシェア率(市場占拠率)を3つの数字で導き出している。その数字は、
- 73.9%
- 41.7%
- 26.1%
である。
シェア率:73.9%
『73.9%』という数字は、シェア率(市場占拠率)のかたちで言えば「独占的寡占型」と呼ばれ絶対的な1社独走の力関係をあらわす。
このシェア率になると絶対的安全な地位になり、かりに6社の競合関係があったとしても1強5弱の関係になってしまう。
シェア率:41.7%
『41.7%』という数字は、「相対的安定値」といわれシェア率(市場占拠率)がこの数字に達すれば安全圏に入ったとみなすことが出来る。
基本的に40%以上のシェア率(市場占拠率)を獲得している企業は、その業界のナンバーワンであり主流である。いったんその数字に達してしまえば、大幅に落ち込むとか、突如ダウンするとかいった現象はまず起きないとされている。
シェア率:26.1%
『26.1%』という数字は、企業間の力関係を強弱で表現すると強者と弱者を分ける境目の数字と言われ、いわゆる片足は強者の立場、もう片方の足は弱者の立場にたっていることを表している。
したがって『26.1%』のシェア率(市場占拠率)で1位の企業は、2位以下の企業全てを相手にして独占的な体制に入ることができなく、1位といっても不安定な立場で、いつ他者に逆転されるかわからない状態とされている。
無成長産業の高シェア企業
事実として高シェアの企業の株価は高くいて手が出しにくいものが多い。PER・PBRを見ているとほんとに手が出せない。
では、どういった高シェア企業を狙えばいいのだろうか?その答えの1つとして、投資信託マネージャーの「ピーター・リンチ」が以下のことを述べている。
SCI(サービス・コーポレーション・インターナショナル)は葬儀が無成長産業だったからうまくいった。葬儀産業の成長率はたかだか1%で、コンピュータ産業に向かう人たちの興味は惹かない。しかし、確実な需要のある安定したビジネスである。
無成長産業でとくに退屈で嫌われるものは、競争の心配がない。他に興味を持つ人がいないのだから、競争相手に対してガードを固める必要もない。SCIがそうだったように、成長を続け、シェアを高める余裕がある。SCIはすでに米国の5%を所有しているが、10~15%を持とうとしても誰も邪魔しないだろう。
「ピーター・リンチの株で勝つ」より引用
SCI(サービス・コーポレーション・インターナショナル)は、世界最大の葬儀会社だ。そして、この業界は「ピーター・リンチ」の言うように、成長率が低くて退屈で嫌われる業界だ。
この業界に対して、一流大学のMBA連中が乗り込んでくるとも思えない。そんな業界より、成長率が高く華やかな業界に挑戦しようとするだろう。
僕は競争相手が出てこない業界でシェアを着実に広げていける企業、こうした企業に僕は投資したいと思っている。こんなことを考えていると、成長性のない日本という国で日本株に投資することは意外と悪くない選択なのではとも思ってしまう。
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