株式市場のバブルをどう受け止めて、どのように避けるべきなのか?

株の本のイメージ 株の勉強

1955年から90年にかけて日本の株価は100倍になった。そして、1989年のピークには日本の株式時価総額はアメリカの1.5倍の4兆ドルに達した。このとき日本の株式時価総額は、世界全体の株式時価総額の45%を占めたという。1989年の日本株は、まさに黄金のように輝いていた時代と言えるだろう。

だが、89年の大引きに株価が約4万円に届くところまで上昇したのをピークに、92年8月半ばにはそれを63%も下回る1万4309円まで落ち込んだ。残念なことに日本の株価はバブル崩壊後の30年以上にわたって低迷し、現時点でもそのバブル時の値段を更新していない状態となっている。

世界でも有名なフィナンシャル分野の教授であるジェレミー・シーゲル博士は、その著書である「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」という本のなかで、株式のバブルについて以下のことを述べている。

バブルをバブルと見極めたなら、まず脇に退いて、それに関わる企業や業界から手を引くことだ。よほどの幸運に恵まれて、話題の銘柄が手元にあったなら、さっさと売って、あとは振り返らない。おそらく、暴落するまでには、まだ値上がりするだろう。だが最終的には、うまく売り抜いたといわれるはずだ。

「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」より引用

バブルの最中に株を売ることは、過去の人々の行動を見ても難しいことだろう。それでも、このシーゲル博士の言葉と日本株バブルの歴史は株式投資をする上で忘れてはいけないことだと僕は思う。

バブルの兆候

株式市場がバブルかどうかを見極めるのは難しいと僕は思っている。

だが、シーゲル博士は市場の兆候を見張っていればバブルを見極めることができ、実際に以下のような兆候が表れたら注意すべきだとしている。

マスコミがさかんに取り上げ、報道ぶりが過熱する。業容や社名を理由に、利益が出ていなくても、売上さえろくに立っていなくても、異常な高値がつく。世の中が根本的に変わったのだから、こうした企業の価値は、従来の物差しでは測れないとみながいいはじめる。

中略

バリュエーションは、どんなときも重要だ。これだけはバブルであってもなくても変わりない。成長株にはいくらでも支払う価値があると考えるなら、いずれ市場からお灸を据えられる。

「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」より引用

EVや仮想通貨関連の株で、かなり高いバリュエーションが付いている会社がチラホラ存在する。

なぜこんなに高いバリュエーションがつくのだろうか?企業の価値は、従来の物差しでは測れないからなのだろうか?

もしかしたら、こうした会社の株価はバブルとなっているだけなのかも知れない。

イオン(8267)

シーゲル博士は、バブルで失敗しないための教訓として以下の5つのことを挙げている。

教訓その1:バリュエーションはいつも重要
教訓その2:買った銘柄に惚れ込んではいけない
教訓その3:時価総額が大きく、知名度の低い銘柄は要注意
教訓その4:三桁のPERは避ける
教訓その5:バブルでの空売りは禁物

「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」より抜粋

どれもが大事な教訓だが、僕の中で一番気になったのが「三桁のPERは避ける」だ。なぜなら、僕の持ち株の中で「三桁のPER」のものがあるからだ。

その銘柄は、国内最大の流通企業グループで、スーパーマーケット業界トップの「イオン」だ。

僕がイオンを購入したのは2013年頃で、購入当時の株価は1,075円であった。そして現時点(2021/8/30)での株価は2,922円で、約170%の評価益となっている銘柄だ。

イオンの株価チャート

評価益を見るかぎりバブルを全然感じないのだが、PER(予)は123倍をつけている。この高PERの理由は、ネットで調べてみる限り以下の通りであると考えらている。

『イオンの業績は、コロナ拡大による影響のあった2021年02月決算を除くと、本業のもうけを表す営業利益は最高益を更新し続けているが、事業を再編などのコストがかさみ、最終的な利益である当期純利益は低迷が続いている状態である。だが本業の伸び具合や、事業再編コストがなくなることを考慮すると今後はさらに利益が押し上げられていく』

「今後はさらに利益が押し上げられていく」としても、PER(予):123倍というのは高すぎではないのだろうか?

シーゲル博士によると、バブルの対応として「幸運に恵まれて話題の銘柄が手元にあったなら、さっさと売ってあとは振り返るな」と言っている。

「イオン」の評価益からすると『幸運に恵まれて話題の銘柄』と呼べないが、それでもPERの高さを考慮すると『さっさと売って振り返らない』というのが正しい気がする。

でも、僕にとって「イオン」は株主優待が充実している銘柄でもあるので手放すことが出来ない。こうした理由で、僕はイオンの株を持ち続けるようと思う。

そして、いつの間にかイオンの株価が下がり、あの時に売っておいたほうが良かったと後悔するのだろう。

バブルのときの教訓を生かさずに、同じ過ちを繰り返す。株式投資とはそういうものなのかも知れないと思えてしまう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました