株式投資をするなら、これから成長が間違いないと思う業界に投資するのが正解なのか?

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株式投資をするなら、これから成長が間違いないと思う業界に投資したい。なぜなら、こうした業界に属している会社は間違いなく利益を伸ばし、大きなリターンを投資家にもたらしてくれると思えるからだ。

だがファンダメンタル分析の父と呼ばれたベンジャミン・グレアムは、成長産業への投資について以下のことを述べている。

業界の成長がまちがいないからといって、投資家が手にする利益もまちがいないとかぎらない。

「賢明なる投資家」より引用

成長率が高い業界は、高いリターンをもたらすのか?

普通の株式投資家なら「これから急成長すると思われる業界に属する会社に投資した方が高いリターンをもたらす」と考えるだろう。実際に僕もそう思っていた。

だが世界でも有名なフィナンシャル分野の教授であるジェレミー・シーゲル博士は、その著書である「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」という本のなかで、この認識は間違っていると述べている。

そして、この例として以下の話をしている。

S&P500の主要セクターの中で、金融セクターは1957年の市場シェアは0.77%だったのだが、2003年の市場シェアは20.64%と高い成長率を誇った。だが、エネルギーセクターは、1957年の市場シェアは21.57%だったのだが、2003年の市場シェアは5.8%まで落ち込んだ。

もし1957年に戻れるとして、あなたが投資するのならば「金融セクター」「エネルギーセクター」のどちらに投資するのかと問われたら、大抵の人は「金融セクター」と答えるだろう。

この答えにて対して、シーゲル博士はこのように回答している。

1957年以来のリターンをみると、事実は次の通りだ。金融銘柄のリターンはS&P500種平均を下回り、エネルギー銘柄のリターンは、市場平均を上回っている。長期投資家にとって、なるべく成長率の高いセクターを求める戦略は、まちがいだといえる。

「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」より引用

なぜ成長率が高い「金融セクター」より、低成長の「エネルギーセクター」のほうが高いリターンを生み出したのだろうか?

シーゲル博士の回答は、以下の通りだ。

石油会社は本業に集中した。石油を掘り、コストをぎりぎりまで抑えて、利益を配当の形で株主に還元した。しかも、投資家の期待が低かったので、株価もつねに低めだった。低いバリュエーションと高い配当が嚙み合って、リターン上昇に加速がついた。

「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」より引用

アイモバイル(6535)

成長率が高い業界よりも、低成長の業界の方がリターンが大きいこともある。この話が説明されている「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」という本を読んだとき、僕は2021年6月に購入した「アイモバイル(6535)」という銘柄を思い出した。

「アイモバイル(6535)」は、『広告配信ネットワーク大手、インターネット広告事業とコンシューマ事業(ふるさと納税サイト運営)の2本柱で運営』している会社だ。

そして、僕は「アイモバイル(6535)」を2021年6月に1,855円で株を購入した。が、現時点の株価(2021/8/27)は1,424円で△23%の評価損を叩き出している。

インターネット広告事業を営むなど、今後も大きく成長すると思われる業界に属している会社だから多少の評価損も問題ない。それどころか、将来は大きなリターンを生んでくれるだろう。と、僕は思っていた。

だが「アイモバイル(6535)」の購入時のPER(予)は21.0倍であり、投資家の期待もやや高く、決して低いとは言えないバリュエーションで購入してしまった銘柄である。

「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」の本の内容が正しいとすると、「アイモバイル(6535)」は長期的に大きなリターンは生んでくれないのではないのだろうか?

そんな疑問が頭の中で大きくなりつつあるのだが、せっかく購入した銘柄だ。株式投資として間違っているのかもしれないが、もうしばらくは様子見を兼ねて保有し続けたいと思う。

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