株式投資するのなら「消費者独占型」企業の株を購入しよう

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株式投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットは、企業分析をする際に「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業と「コモディティ型」企業に分けた。

「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業とは、ブランド価値の高い企業、または取り扱う製品があたかも独占企業のように強い市場支配力を持っている企業のことで、コカ・コーラやGEICO、ワシントン・ポストなどがそれにあたる。

そして「コモディティ型」企業とは、他との差別化ができない低付加価値の事業を行っている企業ことだ。

バフェットは、「コモディティ型」企業を避けて「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業に集中して投資することで、株式投資で大きな成功を収めてきた。

株式投資で成功するためには、バフェットのように「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業を探し出し、その企業に投資すべきであると僕は思う。

有料ブリッジ型の企業

バフェットは「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業のことを 有料ブリッジ型の企業と呼んでおり、以下のように説明している。

もしあなたが泳いだり船を漕いで川を渡りたくなければ、料金を払って橋を渡るほかないだろう。したがって、この橋を所有している人は、一種の独占的地位にあたると考えていい。

この話を敷衍して考えてみよう。もしリグレー・チューインガムが欲しければ、それを作っているウィリアム・リグレー社から買うしかない。
(中略)
これらの企業は消費者が欲しがる製品に対して独占的販売権を持っており、自由に高い価格設定が可能になるのだ。それが高い収益性につながり、株主の利益もそれだけ大きなものになる。

「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」より引用

「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業は、株主に大きな利益をもたらしてくれる。

だが「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業であっても、悪材料が報じられて株価が下落することもある。しかし、こうした企業は一時的に荒波に巻き込まれても、優れた事業のファンダメンタルズが救命具となって、立ち直る力を持っているともバフェットは述べている。

消費者独占型企業の見分け方

「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業を見分けるには、どのようにしたら良いのだろう?バフェットは、以下の2つの質問をすれば良いと述べている。

1.もしその企業が株主資本をすべて配当で投資家に還元したと仮定して、後に何がしかの価値が残るだろうか。

2.今ここに、何十億ドルもの資金と、これはと思う50人からなる経営チームを集める力があるとする。その力を利用すれば、その企業に太刀打ちできるような新会社を作り上げることが可能だろうか。

「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」より引用

1の質問に対して「Yes」であれば、その企業は消費者独占力を持っている可能性が高い。そして、2の質問に対して「No」であれば、その企業は非常に強い消費者独占力で守られていると考えられる。

バフェットは上記の質問に対して自問自答を繰り返し、投資する企業を選別してきた。

そして、バフェットが投資した「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業は、ブランド力が非常に強く利益率が高い「ローテク」企業が多かった。

バフェットが投資した「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業の利益率の高さの理由を、大きな資本を要する工場・機械設備への依存が少ないためと考えている。上記で述べたチューインガムのウィリアム・リグレー社は、高度な生産設備は必要としない。数十年前の生産設備で、十分な利益を上げることが出来る。

だが「コモディティ型」企業の場合は、価格競争に打ち勝つために、シェアを奪われないために絶えず新しいモデルを打ち出すために、常に生産設備を整える必要がある。このことにより「コモディティ型」企業は利益の大部分を設備投資に回す必要があり、それが株主のリターンを大きく低下させてしまう。

株式投資をするのであれば、バフェットのように「コモディティ型」企業を避けて「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業に投資をする。これが、株式投資で成功する秘訣であると僕は思う。

日本ライフライン(7575)

「消費者独占」「日本企業」というキーワードで検索してみたら、「日本ライフライン」という企業が紹介されていた。「日本ライフライン」は、僕の持ち株に含まれている企業だ。ということで、「日本ライフライン」の状況を確認してみることにした。

  • 日本ライフライン(7575)

取得単価:72円で、800株を保有中。
現時点のPER(予):11.1倍、PBR(実):1.64倍、ROE(実):3.89%、配当利回り(予):3.63%

独立系の医療機器商社&メーカー。ペースメーカーなど心臓領域が得意分野で、EPカテーテル等を自社生産している。

日本ライフラインのここ数年の株価チャートは以下の通り。

日本ライフラインの株価チャート

売上について、前期は減収であった。だが、今期の2022年3月期決算では増収になる見込みである。

純利益について、前期の2021年3月期決算では前期比約74%と大幅な減益となっている。だが、今期の2022年3月期決算では大幅な増益となる見込み。

また利益の質であるアクルーアル(税引き後利益-営業キャッシュフロー)の状況は、以下の通りである。

アクルーアルは税引き後当期純利益(※特別損益を除いた税引き後の利益)を用いるが、確認するのに少し手間なので「日本ライフライン」の決算書に載っている『親会社の所有者に帰属する当期利益』の数値をそのまま使っている。

  • 2019/03月決算 当期利益:7,723百万円 営業CF:7,037百万円
    →アクルーアル:686百万円
  • 2020/03月決算 当期利益:7,748百万円 営業CF:7,096百万円
    →アクルーアル:652百万円
  • 2021/03月決算 当期利益:2,000百万円 営業CF:11,432百万円
    →アクルーアル:△9,432百万円

2021/03月決算は、債券放棄及びデット・エクイティ・スワップの実行に伴う特別損失を計上したため分析外として、通常の「日本ライフライン」はある程度の現金収入を伴った利益を上げており、利益の質はまずまずと言える。

純利益の利益率については、特別損失を計上した2021/03月決算を除くとここ数年は14.9~17.6%の間を行ったり来たりしている。この利益率の状態は、同じ医療器具系の会社である「テルモ」よりもやや高く「朝日インテック」と比較すると少し物足りない利益率となっている。

キャッシュフローについては、ここ5年でフリーキャッシュフローがマイナスの年が2回あり、キャッシュフロー的にはまずまずといった状態である。

配当については、2021/03月決算まではほぼ右肩上がりであった。だが、今期の2022年3月期決算では1株:49円→38円と11円の減配となる見込みである。

「日本ライフライン」は卸売業に分類されており、卸売業全体の市場平均のPERは25.1倍となっている。「日本ライフライン」の現時点でのPER(予)は11.1倍で、卸売業全体の市場平均と比較してかなりの割安感が伺える状態である。

最後に「日本ライフライン」の10年後の予想BPS(1株当たり純資産)を算出し期待収益率:年15%と設定した場合に、現時点の株価がどういう状況なのかを確認してみた。

  • BPS成長率:年13%
    過去10年から算出したBPSの平均成長率
  • 10年後の予想BPS:2174.38円
    上記のBPS成長率より算出
  • 現時点の予想株価:1890.7円
    年15%の収益率で算出(※割引率が年15%)

「日本ライフライン」の現時点の株価は1,048円である。過去の成長率がそのまま継続すると仮定するのなら、今の株価で購入したとなら年15%以上の収益が見込める想定となる。

「日本ライフライン」が「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業であれば、今の株価は非常に割安だと判断することが出来て、買い増しを検討しても良い状況と言える。

「日本ライフライン」は「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」なのだろうか?それを判断するためには、上記の消費者独占型企業の見分け方の質問に対して自問自答する必要がある。

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