株式投資で一番大切なデータとは何だろうか?その答えは「利益」である。
このことは史上最大のミューチュアル・ファンドであるマゼラン・ファンドを運用した伝説の人物「ピーター・リンチ」も、その著書である『ピーター・リンチの株で勝つ』の中で述べている。
もしあなたがたが一つのデータに従うなら、それは利益にするといい
(中略)
私は、株式に投資する場合の成否は早かれ遅かれ収益によるという確固たる考えを持っている。
「ピーター・リンチの株で勝つ」より引用
株価の今日や明日、または来週の動きは単なる気紛れでしかない。なので、株価よりも企業の利益に注目すべきである。
なぜなら、企業の利益は早かれ遅かれ株価に反映されるのだから。と、ピーター・リンチは言っている。
では、どうすれば企業の利益を知ることができるのだろうか?情報源は色々あるが、僕は「会社四季報」をオススメしたい。
会社四季報には「過去3年の1株益」と「将来2年分の1株益予想」として、計5年分の1株益が記載されている。
この情報を使って企業の利益を予想しよう。そして、その予想情報をもとにして株式投資して良い起業なのか判断する材料とするのだ。
将来の「1株益」を予想しよう
将来の「1株益」がいくらになるのか?
会社四季報には「将来2年分の1株益予想」の数値が記載されている。この数値をそのまま将来の「1株益」を予想数値にしてしまうのが僕のオススメである。
もし会社四季報の予想数値を使いたくないという人がいるならば、自分で将来の「1株益」を算出しなければならない。
その方法も会社四季報に記載されている「過去3年の1株益」から算出することが出来る。
過去3年の1株益の実績から利益成長率を割り出して、将来の「1株益」を算出すれば良い。単純に過去のデータを延長し、その結果を将来の「1株益」にするだけだ。
こんな簡単な方法で問題はないのだろうか?そう考える人もいると思う。
だが、アメリカの経済学者で「ウォール街のランダム・ウォーカー」の著者であるバートン・マルキールは以下のように述べている。
証券アナリストが産業分析や工場見学に基づいて注意深く行った予想も、単純に過去を延長した結果とほとんど変わらなかったのある。
(中略)
実のところ、かなり簡単な手法を用いても、証券アナリストによる予想値より実際の成長率に近い答えを求めることができた。
「ウォール街のランダム・ウォーカー」より引用
ファンダメンタル分析を仕事にしているプロアナリストの利益予想を、バートン・マルキールが確認してみた。
その結果として、上記のようにプロの証券アナリストの利益予想も、単純に過去の利益を延長した結果とほとんど変わらなかった。
また、かなりざっくりと簡単な計算で出した利益予想のほうが証券アナリストによる予想値よりも正解に近かったと述べている。
この利益予想について興味がある方は、以下を参照して欲しい。ファンダメンタル分析の有効性について知ることが出来るだろう。
未来の株価を求めよう
将来の「1株益」がいくらになるのか予想が終わったのなら、次はいくらの株価が妥当なのか判断する必要がある。
その判断も「会社四季報」を使えば容易に行える。
「会社四季報」には、「食料品」「繊維製品」「パルプ・紙」など33業種別の来期予想のPER数値が記載されている。また、全産業の来期予想のPER数値も記載されている。
この来期予想のPER数値と、上記で求めた「1株益」の予想数値を掛け合わせる。そうして算出した数値が、未来の株価である。
この未来の株価と現在の株価を比較して、現在の株価が安ければ購入候補となるのだ。
最後に
今回は、会社四季報を使って将来の「1株益」の予想数値と未来の株価の求め方を纏めてみた。
このやり方は非常に簡単である。だが、このやり方を踏襲する限りバブルで株価が跳ね上がってしまった銘柄に手を出して大ヤケドするということはないだろう。
また前回の記事で「会社四季報を使って、株式投資で成功する3つのルールを確認しよう」という内容を記載している。
こちらも会社四季報を使って、株式投資を有利に運ぶ方法が記載されている。興味があれば、参照して欲しい。
企業の将来の利益を予想することは非常に難しい。
だが、バートン・マルキールが言っているように「証券アナリストが産業分析や工場見学に基づいて注意深く行った予想も、単純に過去を延長した結果とほとんど変わらない」ということも、株式投資をする上で覚えておいても損はないと僕は思う。
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