株式投資をしていたらよく聞くことの1つに「ROEの高い企業の株を購入して、あとは保有しておくだけで良い」というのがある。
確かにROEが高い企業は効率よく稼ぐことが出来ている優良企業であることが多いし、また株式投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットもROEの重要性を説いており、バフェット自身も高ROE企業に投資をして大成功を収めている。
だが「勝てるROE投資術」という本では、「ROEの高い企業の株を購入して保有しておけば良い」という考えは大きな間違いだと述べている。実際に一定期間内で高ROE銘柄の生んできたリターンを確認してみたところ、そのパフォーマンスは芳しいものではなかったとも述べている。
では、なぜ高ROE銘柄のリターンは悪かったのだろう?これについて「勝てるROE投資術」の本では、以下のように説明されている。
1.高ROEが織り込み済み
「勝てるROE投資術」より引用
2.ROEの平均回帰性
3.ROEとPBRの関係
高ROEが織り込み済み
「高ROEが織り込み済み」が織り込み済みというのは、高ROEという企業の評価が過大となり株価が高すぎる状態のことを言っている。どんなモノにも適切な価格というものが存在するように、適切な価格から外れあまりに高すぎる価格というのは、将来値下がりするリスクがあるということだ。
史上最大のミューチュアル・ファンドであるマゼラン・ファンドを運用した伝説の人物「ピーター・リンチ」も、似たようなことを述べている。
リンチは「収益が今後ものすごく伸びる優良企業の株を何も考えず買うだけで、株式投資で儲けることは出来ない」と言っており、株式投資で儲けるには、どんな優良企業でも収益と株価を比較し現実的な株価で購入することが大事であると述べている。
ROEの平均回帰性
ROEの平均回帰性とは、以下のことを言っている。
高ROE企業のROEは期間を経るごとに下がりやすく、逆に低ROE企業のROEは上がっていく現象だ。ROEは平均値へと回帰していく。
「勝てるROE投資術」より引用
高ROEだった企業が、ROEの平均回帰性により平均的なROE企業となる。その分、企業評価が下がり株価も下落するということだ。
ちなみにROEの平均回帰性が起こる理由として、「勝てるROE投資術」の本では「企業間の競争」や「自己資本増加によるROE低下」ではないかと説明されている。
「企業間の競争」については、儲かる事業には新規参入者が増えて利益率が下がり、逆に儲からない事業に他社が徹底して既存企業の利益が上がっていくことで、ROEの平均回帰性が起こるということだ。また「自己資本増加によるROE低下」については、ROEが高い企業が利益を内部留保すると自己資本が増加し、ROEの低下を招くというものだ。
ウォーレン・バフェットも「企業間の競争」によるROEの平均回帰性をよく理解しているのだろう。だからこそバフェットは株を買う時は、企業がライバル企業からの類似商品の販売や新規参入や防いで優位にビジネスができる強みがある「経済的な濠(ほり)が深い企業がいい」と述べている。「経済的な濠(ほり)が深い企業」ならば、比較的長期間におちて高いROEを上げることができるからである。
ROEとPBRの関係
ROEとPERの関係は「PBR = ROE * PER」で表せる。この式で言えることは、低PBRの銘柄はROEも低いことが多いということだ。
また日本株式市場ではバリュー効果の有効性が認めれており、ROE水準よりも低PBR効果で超過リターンが生み出されていると「勝てるROE投資術」では述べている。
過去の結果ではあるが、バリュー効果で低ROE銘柄の方が高ROE銘柄の成績を上回っているということは、株式投資をする上で覚えておいて損はないと僕は思う。
ROEを使ってリターンを高めるには
ROEを使って株式投資のリターンをさらに高めるにはどうすれば良いのだろうか?「勝てるROE投資術」の本で、役に立ちそうで比較的簡単に使えそうなものがあったので紹介したい。
- PBRが低くROEが高い企業
- ROEの持続性が高い企業
「勝てるROE投資術」の本では、過去の一定期間のバックテストで低PBRで高ROE銘柄の成績が良かったと述べている。過去の結果からの答えなのかも知れないが、覚えておいて損はないだろう。
またROEの持続性が高い企業について、パフォーマンスが良好であったと述べている。
では、どうすればROEの持続性が高い企業を見つけることが出来るのだろうか?「勝てるROE投資術」の本では、「自己資本比率が高い」「売上高成長率が高い」「売上高営業利益率が高い」がキーワードであるとしている。
バルカー(7995)
僕が最近投資した銘柄で、「PBRが低くROEが高い企業」で「ROEの持続性が高い企業」は存在するのだろうか?存在するのであればリターンはどうなっているのだろうか?
調べてみたが「PBRが低くROEが高い企業」で「ROEの持続性が高い企業」というものは存在しなかった。だが敢えて言うのならば「バルカー(7995)」が、その条件に当て嵌まるかも知れない。
「バルカー」は、2020年10月に1,755円で100株購入した銘柄だ。購入時の株価指標は、予想PER:11.9倍、実績PBR:0.93倍、ROE(実):8.82%である。
「PBRが低くROEが高い企業」の条件には、まずまずだが当て嵌まる。
また「ROEの持続性が高い企業」の条件である、「自己資本比率が高い」については過去10年平均で自己資本比率は60%を超えている。そして「売上高成長率が高い」については、過去10年平均の売上成長率は約3.2%とまずまず数値である。また「売上高営業利益率が高い」については、過去10年平均の売上高営業利益率は約8.5%とこちらもまずまずの数値である。
この「バルカー」のリターンについては、約51%の評価益(配当除く)である。同じ期間の「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」の騰落率:が約19%なので、TOPIXと比較してかなり良い成績を残している。
今後、僕の投資条件に「PBRが低くROEが高い企業」と「ROEの持続性が高い企業(自己資本比率が高い)(売上高成長率が高い)(売上高営業利益率が高い)」を追加してみようと思う結果であった。
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