株式投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットは、将来の予想1株当たりの利益(EPS)にもとづいて予想株価を求め、期待収益率を計算していると言われている。その方法について「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」という本に記載されていたので紹介したい。
ちなみに、その方法とは以下の通りだ。
①EPS(1株当たり利益)とBPS(一株当たり純資産)からROE(株主資本利益率)を算出する
②利益を内部留保と配当に分け、それぞれの比率を算出する
③①のROEと②の内部留保と配当の比率をもとに、将来の予想BPSを算出する
④③の予想BPSと①のROEから、将来の予想EPSを算出する
⑤④の予想EPSと過去のPERから期待収益率を求める
また過去の記事で、将来の株主資本(BPS)を予想して期待収益率を計算する方法を記載している。こちらもバフェットが使用している計算式と言われている。ので、株式投資をする上で知っておいても損はないと僕は考えている。
タマホーム(1419)
先日「タマホーム」の株を購入した。
今回はこの「タマホーム」を使用して、上記に記載している「将来の予想1株当たりの利益(EPS)にもとづいて予想株価を求め期待収益率の計算」をしてみたい。
①EPS(1株当たり利益)とBPS(一株当たり純資産)からROE(株主資本利益率)を算出する
僕はタマホームのROEを「18.53%」と算出した。この数値の算出方法は以下の通りだ。
まずROEは、以下の計算式で求めることが出来る。
- ROE = EPS / BPS
この計算式をもとに、「タマホーム」の過去5年のEPS・BPSから平均のROEを算出する。
・2017/05決算 EPS: 30.7円、BPS:475.0円→ROE: 6.46%( 30.7円 / 475.0円)
・2018/05決算 EPS: 69.6円、BPS:528.5円→ROE:13.17%( 69.6円 / 528.5円)
・2019/05決算 EPS:133.8円、BPS:618.9円→ROE:21.62%(133.8円 / 618.9円)
・2020/05決算 EPS:173.8円、BPS:722.7円→ROE:24.05%(173.8円 / 722.7円)
・2021/05決算 EPS:243.9円、BPS:892.1円→ROE:27.34%(243.9円 / 892.1円)
→平均ROE:18.53%
②利益を内部留保と配当に分け、それぞれの比率を算出する
僕はタマホームの利益比率について、内部留保比率は「59%」、配当比率は「41%」と算出した。この数値の算出方法は以下の通りだ。
2021/05決算のEPSと1株配当から、利益の内部留保と配当の比率を算出する。
・2021/05決算 EPS:243.9円、1株配当:100.0円
→利益の内部留保比率:59%( (243.9円 – 100.0円) / 243.9円)
→利益の配当比率:41%(100.0円 / 243.9円)
③①のROEと②の内部留保と配当の比率をもとに、将来の予想BPSを算出する
僕はタマホームの10年後の予想BPSを「2,517.73円」と算出した。この数値の算出方法は以下の通りだ。
①のROEは「18.53%」、②の内部留保比率は「59%」である。この数値から内部留保に対応する比率は「10.93%(18.53% * 59%)」となり、これは翌年には新たに株主資本に付け加わる部分となる。
そして10年後の予想BPSは、直近のBPS「892.1円」に内部留保に対応する比率「10.93%」だけ成長させていけばよい。結果として予想BPSは「2,517.73円(892.1*1.1093^10)」となる。
ちなみに②の配当比率は「41%」となっている。ので、配当に対応する比率は「7.6%(18.53% * 41%)」となり、これは株主に現金として支払われる部分となる。
④③の予想BPSと①のROEから、将来の予想EPSを算出する
僕はタマホームの10年後の予想EPSを「466.54円」と算出した。この数値の算出方法は以下の通りだ。
③の予想BPSは「2,517.73円」、①のROEは「18.53%」である。これから10年後の予想EPSは「466.54円(2,517.73円 * 18.53%)」となる。
ちなみに10年後の予想配当額は「275.26円(466.54円 * 59%)」で、内部留保は「191.28円(466.54円 * 41%)」となる。
⑤④の予想EPSと過去のPERから期待収益率を求める
僕はタマホームの株価の期待収益率(配当金除く)を「年:7.35%」としている。この数値の算出方法は以下の通りだ。
タマホームの過去3年のPERの平均は10倍となっている。ので10年後のPERも10倍と想定した場合、予想株価は「4,665.4円(466.54円 * 10倍)」となる。
そして、僕がタマホーム株を購入した時点の株価は「2,295円」である。タマホーム株を10年持つとした場合、収益率としては「年:7.35%( (4,665.4円 / 2,295円)^(1/10)-1 )」となる。
ちなみにこの収益率は、配当金を除いた数値となっている。配当金に関しても、上記の数字を使用すれば求めることが出来るが、今回は株価だけに着目するということで省くこととした。
まとめ
バフェットは株の収益率は最低でも15%以上を求めるべきだと言っている。「タマホーム」の収益率:7.35%ので、結論としては投資すべきでないという結果となった。今後は、ちゃんと「将来の予想1株当たりの利益(EPS)にもとづいて予想株価を求め期待収益率の計算」して株式投資に臨みたいと思う。
ちなみに、株式投資をする上でこうした予想をすることは大事だがバフェットはそれ以上に大事なことがあると言っている。
それは、株を買うなら「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業の株を選ばなければならないということだ。こうした「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業こそ、将来の利益を高い精度で予想できるし、企業が様々な困難に陥ったとしても十分に回復する力を持っているからだ。
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