日経平均が1年2カ月ぶりの安値水準になったので「タマホーム」の株を購入してみた

株取引(2022年) 株取引

株式投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット、彼の投資アイデアや手法が書かれた「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」の本に、株の絶好の買い時について書かれていた。

悪材料減少には次の4つのタイプがある。
・相場全体の調整や暴落
・全般的な景気後退
・個別企業の特殊要因
・企業の構造変化
相場全体が大きく下げるなかで、景気悪化や個別企業の特殊事情にともなう悪材料が出た時こそ、絶好の買い場になる。

「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」より引用

2022/01/27日は日経平均株価は大幅に3日続落し、前日比841円03銭(3・11%)安の2万6170円30銭となり連日で昨年来安値を更新した。下げ幅は6日(844円)以来の大きさで、2020年11月以来およそ1年2カ月ぶりの安値水準となっている。

僕は、この状況はバフェットが言う「相場全体の調整や暴落」の状態になっているのかと思っている。ので買いたい株を急遽探していたら、ローコストの注文住宅を得意とする「タマホーム」を見つけたので購入することにしてみた。

あと余談となるが、絶好の買い時で株を購入すべき企業は「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業でなければならないとバフェットは述べている。

「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業こそが、一時的に荒波に巻き込まれても、十分に立ち直る力を持っている企業だからだ。

タマホーム(1419)

2022/01/27に以下の株を購入。

  • タマホーム(1419)
    キャッチコピー「Happy Life Happy Home TAMA HOME」で有名なローコスト系の注文住宅会社。

2,295円で100株購入。

株価指標とチャート

購入時のPER(予):9.4倍、PBR(実):2.65倍、ROE(実):30.3%、配当利回り(予):4.73%

「タマホーム」は建設業に分類されており、建設業全体の市場平均のPERは16.89倍となっている。「タマホーム」の現時点のPER(予):9.4倍となっており、建設業全体の市場平均と比較してまずまずの割安感が伺える状態となっている。

「タマホーム」のここ数年の株価チャートは以下の通り。

タマホームの株価チャート

業績の状況

「タマホーム」の売上について、2014年4月の消費増税に伴う駆け込み需要の反動に苦しんだ2015年・2016年を除けば、この10年間はほぼ右肩上がりで年平均で約2.5%の成長率を誇っている。また、今期の売上予想も前期比7.8%の増収となる見込みである。

当期利益についても、売上同様に2015年・2016年の赤字を除けば、この10年間はほぼ右肩上がりで年平均で約24.8%の成長率を誇っている。また、今期の当期利益予想についても前期比6.0%の増益となる見込みである。

当期利益の利益率について、過去10年の平均利益率は約1.2%となっている。この数値は、同じ住宅メーカーを扱う「大和ハウス工業」「積水ハウス」と比較するとかなり見劣りする数値となっている。

キャッシュフローについては、ここ10年でフリーキャッシュフローがマイナスの年が4回あり、キャッシュフロー的には安定感があるとは言えない状態である。

配当については、2016年から増配を続けている状態である。今期の配当についても1株:100円→115円と15円の増配となる見込みである

利益の質

利益の質であるアクルーアル(税引き後利益-営業キャッシュフロー)の状況は、以下の通りである。

アクルーアルは税引き後当期純利益(※特別損益を除いた税引き後の利益)を用いるが、確認するのに少し手間なので「タマホーム」の決算書に載っている『親会社の所有者に帰属する当期利益』の数値をそのまま使っている。

  • 2019/05月決算 当期利益:3,934百万円 営業CF:12,525百万円
    →アクルーアル:△8,591百万円
  • 2020/05月決算 当期利益:5,109百万円 営業CF:2,201百万円
    →アクルーアル:2,908百万円
  • 2021/05月決算 当期利益:7,168百万円 営業CF:17,639百万円
    →アクルーアル:△10,471百万円

アクルーアルは毎年マイナスとなっている訳ではない。ので「タマホーム」は、毎年現金収入を伴った質の高い利益を生み出せる企業と言えない。

現時点の株価分析

「タマホーム」の10年後の予想BPS(1株当たり純資産)を算出し期待収益率:年15%と設定した場合、現時点の株価がどういう状況なのかを確認してみた。

  • BPS成長率:年18.9%
    過去10年から算出したBPS成長率
  • 10年後の予想BPS:4,999.0円
    前期のBPS:892.1円と上記のBPS成長率より算出
  • 現時点の予想株価:1,235.7円
    年15%の収益率で算出(※割引率が年15%)

「タマホーム」の現時点の株価は2,296円で、年15%の収益率を目指した場合の現時点の株価は1,235.7円が妥当だと判断できる。なので、年15%の収益率を目指すのであれば現時点の株価は割高だと判断でき、計算上では年8%くらいの収益率を目指すのが妥当と言える。

黄金銘柄の特徴チェック

世界でも有名なフィナンシャル分野の教授であるジェレミー・シーゲル博士は、市場平均をつねに上回りつづける銘柄を黄金銘柄と名付けおり、黄金銘柄には3つの特徴があると述べている。

「タマホーム」が、この黄金銘柄の3つの特徴に当て嵌まるのか確認してみたところ、ぴったりと条件に当て嵌まるとは言い難い状況であった。

  • PERが市場平均をわずかに上回る程度
    →「×」、日経平均のPERは17.88倍となっており、「タマホーム」のPER(予):9.4倍となっている。
  • 配当利回りが市場平均並み
    →「×」、日経平均の平均配当利回りは1.8%となっており、「タマホーム」の配当利回り(予):4.73%となっている。
  • 長期的な増益率が市場平均を大幅に上回っている
    →「?」、日経平均の増益率を調べてみたが分からなかった。だが「タマホーム」の過去10年の経常利益は年10.0%で、当期利益は年24.8%の成長率を誇っている。市場平均は不明だが、かなり良い数値ではないかと個人的には思っている。

また、シーゲル博士は黄金銘柄の特徴として「看板商品にしがみつき、かたくなに品質を守って、市場を海外に広げる方針を貫いている」もあると述べている。現段階で「タマホーム」が、市場を海外に広げる方針を持っていると思ってない。ので、シーゲル博士は黄金銘柄の特徴には当て嵌まらないと考えている。

「消費者独占型」企業を見分ける8つの基準チェック

バフェットは、「消費者独占型」企業を見分けることができる8つの基準があると述べている。

「タマホーム」が、この「消費者独占型」企業を見分けるためには8つの基準に当て嵌まるのか確認してみたところ、8つの基準にいくつか合致することが確認出来た。

  • 消費者独占力を持つと思われる製品・サービスがあるか
    →「?」、「タマホーム」にはローコストで短納期の住宅という特徴がある。だが、そのことが消費者独占力を持つと思われる製品・サービスと言えるのか僕には理解出来なかった。
  • 1株当たり利益(EPS)が力強い増加基調にあるか
    →「○」、過去10年の1株当たり利益(EPS)は、年平均約24.8%で成長している。
  • 多額の負債を抱えていないか
    →「○」、「タマホーム」の前期の当期利益は7,168百万であった。そして、固定負債は5,638百万円である。「タマホーム」の長期負債は、1年分以下の利益で十分に返済できるレベルである。
  • 株主資本利益率(ROE)は十分に高いか
    →「○」、2019年以降は、株主資本利益率(ROE)は20%を超えており、ある程度のレベルであると考えている。
  • 現状を維持するために、内部留保利益の大きな割合を再投資する必要があるか
    →「×」、「タマホーム」の過去5年の設備投資・研究開発費を見ると、売上に対してほんのわずかな額の割合となっている。このことから「タマホーム」は、追加加投資をそれほど必要とぜずとも持分価値そのものが増え続けるタイプの企業と言える。
  • 内部留保利益を新規事業や自社株買戻しに自由に使えるか
    →「○」、「タマホーム」は、2019年・2021年に自社株買戻しを行っている。
  • インフレを価格に転嫁できるか
    →「?」、「タマホーム」はインフレを価格に転嫁できる企業かどうか判断することが僕に出来なかった。
  • 内部留保利益の再投資による利益が、株価上昇につながっているか
    →「○」、ここ3年の株主資本利益率(ROE)を見ていると、内部留保利益の再投資は成功していると言える。

「消費者独占型」企業の4つのタイプチェック

バフェットは、「消費者独占型」企業には以下の4つのタイプに分けられると述べている。

1.長期使用や保存が難しく、強いブランド力を持ち、販売業者が扱わざるをえないような製品を作る事業
2.他の企業が事業を続けていくために、持続的に使用せざるをえないコミュニケーション関連事業
3.企業や個人が日常的に使用し続けざるをえないサービスを提供する事業
4.宝石・装飾品や家具などの分野で、事実上地域独占力を持っている小売事業

「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」より引用

「タマホーム」が当て嵌まるとするのならば、「4.宝石・装飾品や家具などの分野で、事実上地域独占力を持っている小売事業」がある。

バフェットは、一部の地域には「平均的な品質の商品を低価格と、よいサービスで提供する店」というブランドを確立した店が存在する。そして、そうした店はその地域で非常に強い暖簾を築いているの述べている。だがこうした傾向の店は、とくに家具の分野で見られることが多いと言うことも述べている。

住宅メーカーを、このタイプに当て嵌めることは出来るのだろうか?一抹の不安が頭をよぎる。

まとめ

「タマホーム」について過去10年の業績から判断した場合、利益についてかなり良い成長を見せている。また、ここ数年のROEもかなり良い。この数字を気に入って、僕は「タマホーム」を購入した。

だがあとから冷静に分析すると、「タマホーム」が「消費者独占型」企業に当て嵌まるのか?現時点の株価は割高でないのか?など、いろいろ不安視していることも多々ある。

今回株を購入するにあたって、日経平均が大きく下がっていたので、慌てて株を探して購入したという点があった。本来であれば、こうした事態に備えて事前に買いたい株を調査しておく。これが基本なのだが、それが出来ていなかったことを今更ながら後悔している。

コメント

タイトルとURLをコピーしました