バフェットに学ぶ「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業の4つのタイプとは

株の本のイメージ(2022年)株の勉強

株式投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットは、企業分析をする際に「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業と「コモディティ型」企業に分けた。

「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業とは、ブランド価値の高い企業、または取り扱う製品があたかも独占企業のように強い市場支配力を持っている企業のことで、バフェットは有料ブリッジ企業と呼んでいる。

そして、バフェットは「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業は以下の4つのタイプに分類できると述べている。

1.長期使用や保存が難しく、強いブランド力を持ち、販売業者が扱わざるをえないような製品を作る事業
2.他の企業が事業を続けていくために、持続的に使用せざるをえないコミュニケーション関連事業
3.企業や個人が日常的に使用し続けざるをえないサービスを提供する事業
4.宝石・装飾品や家具などの分野で、事実上地域独占力を持っている小売事業

「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」より引用

「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業の4つのタイプ

バフェット が述べる「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業の4つのタイプについて、詳細を説明したい。

長期使用や保存が難しく、強いブランド力を持ち、販売業者が扱わざるをえないような製品を作る事業

スーパーなどの流通業者は、安く仕入れて高く売ることで利益を上げている。なので、似たような製品を取り扱っているメーカーが何社かあれば一番安いメーカーから商品を仕入れることが流通業者の腕の見せ所(利益の上げ方)となる。この場合、似たような製品を取り扱っているメーカーからすれば価格決定権は流通業者に握られていることになる。

だが、バフェットが投資したコカ・コーラ―は上記のメーカーとは違う。流通業者がコカ・コーラ―を買いたいのならば、コカ・コーラ―社から仕入れるしかないのだ。このような場合、価格決定権は流通業者ではなくコカ・コーラ―が握っていることになる。

流通業者はコカ・コーラ―の言い値で仕入れて売るしかないので、流通業者の利益は圧迫されることになるが、コカ・コーラ―社の利益は圧迫されることはない。

「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」の本では、このことを以下のように説明している。

耐久性が乏しく、ブランド力があり、どの流通業者も扱いたがる製品を作る企業は、事実上、一種の有料ブリッジを所有していることになる。そのブランド品を欲しがる消費者がいれば、流通業者は経営上その製品を取り扱わざるをえないのだ。つまり、たった1社だけしかその製品を作っていないこと(有料ブリッジ)、そのブランド品を欲しいと思えばそのメーカーから買うしかないこと(料金を支払う)が、キー・ポイントである。

「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」より引用

他の企業が事業を続けていくために、持続的に使用せざるをえないコミュニケーション関連事業

メーカーが消費者に製品をアピールするために繰り返し使わざるをえないコミュニケーション会社も「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業であると、バフェットは述べている。

アメリカに三大テレビ・ネットワークしか存在しなかった時代の3社は、その独占的な立場を利用して莫大な利益を上げていた。また、一定規模の都市にたった一つしか新聞がなければ独占的な立場となり高収益をあげていた事実もある。

「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」の本では、以下のような記載もある。

国際的な規模の広告代理店も、多大な多国籍企業が世界中で行う広告・宣伝の有料ブリッジになるというユニークな役割のおかげで、非常に高いROEをあげている。大きな多国籍企業が広告・宣伝を打とうとすると、世界第2位の広告会社であるインターパブリックのような企業を使わざるをえない。インターパブリックは、巨大な多国籍企業を世界中の消費者につなぐ有料ブリッジなのだ。

「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」より引用

企業や個人が日常的に使用し続けざるをえないサービスを提供する事業

企業や消費者が日常的に繰り返し使用するサービスを提供する会社も「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業であると、バフェットは述べている。

例として、害虫駆除・清掃請負・家政婦派遣・警備保障などの事業がそれにあたる。またバフェットが投資したアメックスのようなクレジット会社も、このタイプの有料ブリッジにあたると述べている。

「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」の本では、このような事業をもつ会社の特徴を以下のように述べている。

この種の事業に共通する特色は、いずれも必要なサービスを提供しているが、そのために巨額の設備投資も高給取りの専門家もいらないことだ。そのうえ、製品が陳腐化する恐れもない。いったん必要な経営の仕組みとインフラを作ってしまえば、仕事量に応じて従業員を増減させるだけでいいのだ。
(中略)
また、既存の製品やサービスをグレードアップしたり、新製品を開発するために資本やエネルギーを費やす必要もない。したがって、これらの企業の利益は事業拡大のために支出に回るか、配当あるいは自社株買戻しの形で株主に還元されるのである。

「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」より引用

宝石・装飾品や家具などの分野で、事実上地域独占力を持っている小売事業

一部の地域には「平均的な品質の商品を低価格と、よいサービスで提供する店」というブランドを確立した店が存在する。そして、そうした店はその地域で非常に強い暖簾を築いている。

こうした店は成功する可能性があると、バフェットは述べている。バフェットは、このした店の傾向はとくに家具の分野で見られることが多くバフェット自身も「ネブラスカ・ファニチャーマート」というある地域で強いブランドを持った薄利多売の家具店を買収して成功を収めている。

「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」の本では、このようなタイプの店の強さを以下のように述べている。

低コストで大量の商品在庫を持ち、競争相手より廉価で販売できるこれらの業者が支配する市場への参入障壁は、非常に高い。入り口のドアをこじ開けるだけでも、大変な出費がかさむ。巨大店舗を用意して大量の商品を仕入れ、爆弾のような宣伝を打つとなると、巨額な資本が必要となる。もし利益率がほどほどに高ければ、新規参入者はそれを犠牲にして独占的事業を脅かすことはできるかもしれない。ところが、この有料ブリッジの利幅は極端に薄く、独占的地位を崩すことは不可能に近いのだ。

「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」より引用

サイボウズ(4776)

僕の持ち株で「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業と思われるものを探していたら「サイボウズ(4776)」を見つけた。ので、このサイボウズを分析してみたい。

サイボウズは、グループウェアソフトで国内最大手を誇る企業である。僕は、このサイボウズを2004年頃に株価:156円で購入した。サイボウズの現時点(2022/1/20)の株価は1490円となっており、約9倍以上値上がりしてる銘柄である。

分析の結論として、サイボウズは「消費者独占型(コンシューマー・モノポリー)」企業と考えることができ、投資するには良い企業である。だが、現時点の株価は割高なので株を買うタイミングではないというものだ。

株価指標とチャート

サイボウズの現時点の株価は1490円で、PER(予):167.5倍、PBR(実):9.79倍、ROE(実):27.61%、配当利回り(予):0.81%となっている。

またサイボウズは情報・通信業に分類されており、情報・通信業全体の市場平均のPERは48.78倍となっている。サイボウズの現時点のPER(予):167.5倍となっており、情報・通信業全体の市場平均と比較してかなりの割高感が伺える状態となっている。

サイボウズの株価チャート

業績の状況

サイボウズの売上について、2015年12月決算で赤字を出して以降の2016年12月~2020年12月決算の5年間は右肩上がりで、年平均で約17%の成長率を誇っている。また会社予想によると、今期の売上は引き続き増収となる見込みである。

当期利益について、2015年12月決算で赤字を出して以降の2016年12月~2020年12月決算の5年間は右肩上がりで、年平均で約36%の成長率を誇っている。だが会社予想では、今期の当期利益は前期比7割以上の減益となる見込みである。

当期利益の利益率について、過去5年の平均利益率は約6.1%となっている。この数値は、同じIT関連で業務支援ソフトを扱う「ラクス」「アマノ」「コムチュア」の過去5年平均利益率と比較すると物足りない数値となっている。

キャッシュフローについては、ここ5年でフリーキャッシュフローがマイナスの年が一度だけであり、キャッシュフロー的には安定感がある状態である。

配当については、ここ数年は右肩上がりの状態である。また、今期の配当についても1株:11円→12円と1円の増配となる見込みである。

利益の質

利益の質であるアクルーアル(税引き後利益-営業キャッシュフロー)の状況は、以下の通りである。

アクルーアルは税引き後当期純利益(※特別損益を除いた税引き後の利益)を用いるが、確認するのに少し手間なので「サイボウズ」の決算書に載っている『親会社の所有者に帰属する当期利益』の数値をそのまま使っている。

  • 2018/12月決算 当期利益:653百万円 営業CF:1,598百万円
    →アクルーアル:△945百万円
  • 2019/12月決算 当期利益:1,012百万円 営業CF:2,355百万円
    →アクルーアル:△1,343百万円
  • 2020/12月決算 当期利益:1,435百万円 営業CF:2,537百万円
    →アクルーアル:△1,102百万円

アクルーアルはマイナスとなっており、「サイボウズ」は現金収入を伴った質の高い利益を生み出している企業と言える。

現時点の株価分析

「サイボウズ」の10年後の予想BPS(1株当たり純資産)を算出し期待収益率:年15%と設定した場合に、現時点の株価がどういう状況なのかを確認してみた。

  • BPS成長率:年15%
    過去5年から算出した平均成長率
  • 10年後の予想BPS:568.1円
    上記のBPS成長率より算出
  • 現時点の予想株価:140.4円
    年15%の収益率で算出(※割引率が年15%)

「サイボウズ」の現時点の株価は1490円で、BPSで割り出した予想株価は140.4円となっている。BPSの平均成長率が年15%の状態が続くのであれば、今の株価はかなりの割高状態であると言える。

黄金銘柄の特徴チェック

世界でも有名なフィナンシャル分野の教授であるジェレミー・シーゲル博士は、市場平均をつねに上回りつづける銘柄を黄金銘柄と名付けおり、黄金銘柄には3つの特徴があると述べている。

「サイボウズ」が、この黄金銘柄の3つの特徴に当て嵌まるのか確認してみたところ、条件に当て嵌まるとは言い難い状況であった。

  • PERが市場平均をわずかに上回る程度
    →「×」、日経平均のPERは18.51倍となっており、「サイボウズ」のPER(予):167.5倍となっている。
  • 配当利回りが市場平均並み
    →「×」、日経平均の平均配当利回りは1.74%となっており、「サイボウズ」の配当利回り(予):0.81%となっている。
  • 長期的な増益率が市場平均を大幅に上回っている
    →「?」、日経平均の増益率を調べてみたが分からなかった。だが「サイボウズ」の過去10年の経常利益は年8.3%で、当期利益は年4.7%の成長率を誇っている。市場平均は不明だが、まずまずの数値ではないかと個人的には思っている。

また、シーゲル博士は黄金銘柄の特徴として「看板商品にしがみつき、かたくなに品質を守って、市場を海外に広げる方針を貫いている」もあると述べている。「サイボウズ」も「kintone」という製品を軸に海外展開をしようとしているが、今のところ苦戦していると僕は考えている。

「消費者独占型」企業を見分ける8つの基準チェック

バフェットは、「消費者独占型」企業を見分けることができる8つの基準があると述べている。

「サイボウズ」が、この「消費者独占型」企業を見分けるためには8つの基準に当て嵌まるのか確認してみたところ、8つの基準の多くに合致することが確認出来た。

  • 消費者独占力を持つと思われる製品・サービスがあるか
    →「○」、シェアNo.1のグループウェア「サイボウズ Office、Garoon」など、消費者独占力を持つと思われるサービスを「サイボウズ」は持っていると僕は考えている。
  • 1株当たり利益(EPS)が力強い増加基調にあるか
    →「○」、過去5年の1株当たり利益(EPS)は、年平均約36%で成長している。
  • 多額の負債を抱えていないか
    →「○」、「サイボウズ」の前期の当期利益は1,435百万であった。そして、固定負債は130百万円である。「サイボウズ」の長期負債は、1年分以下の利益で返済できるレベルである。
  • 株主資本利益率(ROE)は十分に高いか
    →「○」、過去3年の株主資本利益率(ROE)は、19%を超えており十分に高いとレベルである。
  • 現状を維持するために、内部留保利益の大きな割合を再投資する必要があるか
    →「×」、「サイボウズ」の過去5年の設備投資・研究開発費を見ると、売上に対してほんのわずかな額の割合となっている。このことから「サイボウズ」は、追加加投資をそれほど必要とぜずとも持分価値そのものが増え続けるタイプの企業と言える。
  • 内部留保利益を新規事業や自社株買戻しに自由に使えるか
    →「○」、「サイボウズ」の業績を見ていると、内部留保利益を新規事業や自社株買戻しに自由に使えると考えられる。
  • インフレを価格に転嫁できるか
    →「○」、グループウェアという製品の性質上、多少の値上げが行われようと一度導入したらすぐに辞めるというものではない。ので、「サイボウズ」はインフレを価格に転嫁できる企業だと考えている。
  • 内部留保利益の再投資による利益が、株価上昇につながっているか
    →「○」、ここ3年の株主資本利益率(ROE)を見ていると、内部留保利益の再投資は成功していると言える。

「消費者独占型」企業の4つのタイプチェック

バフェットは、「消費者独占型」企業には以下の4つのタイプに分けられると述べている。

1.長期使用や保存が難しく、強いブランド力を持ち、販売業者が扱わざるをえないような製品を作る事業
2.他の企業が事業を続けていくために、持続的に使用せざるをえないコミュニケーション関連事業
3.企業や個人が日常的に使用し続けざるをえないサービスを提供する事業
4.宝石・装飾品や家具などの分野で、事実上地域独占力を持っている小売事業

「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」より引用

「サイボウズ」は、「企業や個人が日常的に使用し続けざるをえないサービスを提供する事業」を運営する企業と考えられる。

まとめ

「サイボウズ」は、シーゲル博士が述べる黄金銘柄の特徴に当て嵌まらない。が、バフェットが述べる「消費者独占型」企業と言えると僕は考えている。

投資で成功するためには「消費者独占型」企業に投資すべきだが、「サイボウズ」のPER(予):167.5倍であり現時点の株価は高すぎる状態であると言える。

本来であれば株を売ってしまうのが良いのだが、もしかしたら値上がりするのではと思ってしまう。でも、大体こうして思いで保有している銘柄は暴落してしまい、途方に暮れると言うのが僕の今までの経験だ。

「東映アニメーション」の銘柄でも同じ失敗をしているのだけど、僕は持ち株を売るという行動がどうしても取れない。

株式投資というのは、自分の感情がどうしても邪魔をしてしまうものなのかも知れない。

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