「孫子」とは、二千五百年前に書かれた中国の兵書である。
湾岸戦争で多国籍軍を率いたシュワルツコフ将軍、プロ野球史上未踏のV9を達成した巨人軍の正捕手・森祇晶氏、コンピュータ・ソフト企業の雄としてソフトバンクを創業した孫正義氏など、様々なジャンルの有名人がこの「孫子」を読み込み、その戦略を生かすことで成功を収めている。
「孫子」の戦略の根底は、「常に勝てる戦略」でなく「負けない戦略」である。
ライバルが複数ひしめいている状況では、生き残るために「戦って勝つ」ということよりも「負けない」ということがとても重要となってくる。
このようなことを現在の企業に当て嵌めてみると、現在の企業の関係はまるで戦国時代のように、どの業界を見ても飛び抜けた存在がいなく同じような力を持った複数の会社がライバルとしてひしめいている状況である。
こうした状況では、例えば上位の1位・2位の会社が熾烈な争いを行ったとすると、1位・2位の会社はこの熾烈な争いの中で疲弊していくと同時に、1位・2位以外の会社が漁夫の利を得るようにいつの間にかトップとして躍り出ることが多々ある。
「孫子」の考えでは、出来るだけ直接的な争いを避けることを良策しており、戦わずして勝つということを理想としている。
もしそれでも争うのであれば、徹底的に敵・味方の情報を集めて分析し、そして敵が準備を整える前に・味方は十分な準備を整えて、「短期間で決着」が付くように争うべきだともしている。
鉄道信号に関する業界・企業
鉄道信号システムに関する製品を出している企業は何社か存在しているのだが、シェアが大きくて鉄道信号に関する分野が企業の主力事業としているのは以下の3社である。
- 日本信号(6741)
- 京三製作所(6742)
- 大同信号(6743)
そして「この3社について、売上推移や利益率はほぼ似たり寄ったりとなっている。
あくまで僕の想像となるのだが、鉄道信号に関する分野でこの3社ははげしくぶつかる競争を避け、それなりの共存共栄といった戦略を取っているのではないかと思う。
主な顧客先を見てみても、日本信号は主にJR東日本、JR東海、JR西日本を中心にJR各社が最大の顧客となっているのに対して、京三製作所は私鉄・地下鉄が主な顧客となっている。
「孫子」が言っているように、『「戦って勝つ」ということよりも「負けない」ということがとても重要』ということを理解している業界なのかも知れない。
日本信号(6741)
僕は、2012年頃に「日本信号(6741)」の会社の株を購入した。
当時、1株:562円の株価で購入したのだが現時点(2021/8/12)で929円であり約65%の評価益となっている。
「日本信号(6741)」の株を買って現時点では損はしていないのだが、日経平均は2012年頃から約3倍となっている。
ちなみに「京三製作所(6742)」「大同信号(6743)」も2012年から株価は上昇しているが日経平均の成績にはとても敵わない状態である。
企業として生き残るということは大事なのかも知れない。だが「孫子」の言う『「戦って勝つ」ということよりも「負けない」ということがとても重要』という感じの業界・企業に投資しても良い成績は収められないのかも知れない。
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