超低PERで超高配当の「商船三井」株を買い増し

株取引(2022年) 株取引

僕が株を買う理由の1つは配当金が欲しいからだ。しかも、出来るだけたくさんの配当金が欲しいと思っている。配当金に関しては様々な意見があるが、高配当株を擁護している説として有名なのはシーゲル博士の説だろう。

シーゲル博士は、「株式市場の過去のリターンに関する事実として配当再投資が最大の源泉」となると述べている。僕はシーゲル博士の言葉を信じて、高配当の商船三井の株を購入することにした。そして、商船三井から頂ける配当金を再投資に回し、株式リターンを高めて行きたいと思う。

ちなみに商船三井は、2021/8/19にも購入している。

買い増しした銘柄となるが、せっかくなので商船三井の株の状況を改めて確認してみたいと思う。

商船三井(9104)

2022/4/6に以下の株を買い増し。

  • 商船三井(9104)
    国内2位の大手海運会社。

3,155円で100株買い増し。

ちなみに現時点(2020/4/8)で、商船三井の株価は3,000円を切っている。もう少し我慢して、購入したら良かったと少し後悔している。

株価指標とチャート

購入時の株価指標は以下の通り。

  • 購入時のPER(予):1.8倍、PBR(実):1.1倍、ROE(実):16.51%、配当利回り(予):10.8%

「商船三井」は海運業に分類されており、海運業全体の市場平均のPERは11.21倍となっている。「商船三井」の現時点のPER(予):1.8倍となっており、海運業全体の市場平均と比較してかなりの割安感が伺える状態となっている。

商船三井の株価チャート

業績の状況

「商船三井」の売上について、ここ10年間はやや右肩下がりの状態であり、ここ10年は年平均で約△4.3%のマイナス成長となっている。だが、今期の売上予想は前期比27.1%と大幅な増収となる見込みである。

当期利益については、ここ10年間は凸凹が激しいが右肩上がりの状態で年平均で約4.4%の成長率となっている。また、今期の当期利益予想については前期比559.6%と大幅な増益となる見込みである。

当期利益の利益率について、当期利益の凸凹が激しいため過去10年の平均利益率は約△0.6%となっている。この数値は、同じ海運業の「日本郵船」「川崎汽船」と比較しても遜色のない数値である。

キャッシュフローについては、過去10年でフリーキャッシュフローがマイナスの年が8回あり、キャッシュフロー的には安定感は全くない。

配当については、2018年度から増配を続けている。なお、今期の配当については1株:50円→350円と300円の大幅な増配となる見込みである

利益の質

利益の質であるアクルーアル(税引き後利益-営業キャッシュフロー)の状況は、以下の通りである。

アクルーアルは税引き後当期純利益(※特別損益を除いた税引き後の利益)を用いるが、確認するのに少し手間なので「商船三井」の決算書に載っている『親会社の所有者に帰属する当期利益』の数値をそのまま使っている。

  • 2019/03月決算 当期利益:26,875百万円 営業CF:55,248百万円
    →アクルーアル:△28,373百万円
  • 2020/03月決算 当期利益:32,623百万円 営業CF:100,723百万円
    →アクルーアル:△68,100百万円
  • 2021/03月決算 当期利益:90,052百万円 営業CF:98,898百万円
    →アクルーアル:△8,846百万円

過去3年の状況をみるとアクルーアルは毎年マイナスとなっている。ので「商船三井」は、ここ3年は毎年現金収入を伴った質の高い利益を生み出している企業と言える。

「消費者独占型」企業を見分ける8つの基準チェック

株式投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットは、「消費者独占型」企業を見分けることができる8つの基準があると述べている。

「商船三井」が、この「消費者独占型」企業を見分けるためには8つの基準に当て嵌まるのか確認してみた。結果として、「商船三井」は「消費者独占型」企業と呼ぶことは出来ないと判断した。

  • 消費者独占力を持つと思われる製品・サービスがあるか
    →「×」、消費者独占力を持つと思われる製品・サービスがあると思えない。
  • 1株当たり利益(EPS)が力強い増加基調にあるか
    →「×」、過去10年の1株当たり利益(EPS)は年平均約4.4%の成長率となっており、力強い増加基調とは言えない。
  • 多額の負債を抱えていないか
    →「×」、「商船三井」の前期の当期利益は90,052百万であった。そして、固定負債は978,834百万円である。「商船三井」の長期負債は、約10年分の利益で返済が必要なレベルとなっており多額の負債を抱えていると言える。
  • 株主資本利益率(ROE)は十分に高いか
    →「△」、現時点の株主資本利益率(ROE)は16.51%となっている。ROEとしては十分な値と言えるが、この値が毎年安定的に出ていない状態である。
  • 現状を維持するために、内部留保利益の大きな割合を再投資する必要があるか
    →「○」、売り上げの約10%くらいを製造設備投資に充てている状態である。このことから「商船三井」は、稼いだ金の多くを再投資に回す必要がある企業だと言える。
  • インフレを価格に転嫁できるか
    →「?」、2017年に川崎汽船・日本郵船との合弁会社をつくり価格を安定させている。
  • 内部留保利益の再投資による利益が、株価上昇につながっているか
    →「×」、ここ5年の株主資本利益率(ROE)や株価を見ていると、内部留保利益の再投資が株価上昇につながっているとは言えない。

「消費者独占型」企業の4つのタイプチェック

バフェットは、「消費者独占型」企業には以下の4つのタイプに分けられると述べている。

1.長期使用や保存が難しく、強いブランド力を持ち、販売業者が扱わざるをえないような製品を作る事業
2.他の企業が事業を続けていくために、持続的に使用せざるをえないコミュニケーション関連事業
3.企業や個人が日常的に使用し続けざるをえないサービスを提供する事業
4.宝石・装飾品や家具などの分野で、事実上地域独占力を持っている小売事業

「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」より引用

「商船三井」は、どの条件に当て嵌まることはなく「消費者独占型」企業ではないと判断出来る。

自社株買戻しの有無

バフェットは、株主になった企業に対して配当よりも自社株買戻しを行うように働きかけている。その理由は、自社株買戻しをおこなうことによって企業のEPSを増加させ、また株価が非常に高い水準の時に行われても株主にとってはメリットが大きいからだと述べている。

「商船三井」の自社株買戻しの状況を確認してみたところ、ここ数年は自社株買戻しを実施していない。

BPS成長率からの期待収益率

「商船三井」のBPS成長率から10年後の予想BPS(1株当たり純資産)を算出した場合、10年後の予想BPSは1,400.96円となる。株価:3,155円で「商船三井」株を購入したとるすると、10年後の値上がり益はなく年△7.8%の収益率(配当除く)となる見込みである。

  • BPS成長率:年△1.3%
    →過去10年のBPSをもとに算出した成長率
  • 10年後の予想BPS:1,400.96円
    →前期のBPS:1,604.10円と上記のBPS成長率より算出
  • 期待収益率:年△7.8%
    →10年後の予想BPSと購入株価:3,155円より算出

将来の予想EPSからの期待収益率

「商船三井」の10年後の予想EPS(1株当たりの利益)を算出した場合、10年後の予想EPSは288.17円となる。そして、過去3年の平均PERから10年後の株価は1,988.34円と予想できる。この予想をもとに株価:3,155円で「商船三井」株を購入したとるすると、10年後は値上がり益はなく年△4.5%の収益率(配当除く)となる見込みである。

  • ROE:9.0%
    →過去3年のEPSとBPSから平均ROEを算出
  • 内部留保比率:78.7%、配当比率:21.3%
    →過去3年のEPSと1株配当から利益比率を算出
  • 10年後の予想BPS:3,188.70円
    →ROEと内部留保比率から株主資本成長率:7.1%(9.0% * 78.7%)とする。そして株主資本成長率と前期のBPSから、10年後の予想BPSを算出
  • 10年後の予想EPS:288.17円
    →10年後の予想BPSとROEから、10年後の予想EPSを算出
  • 期待収益率:年△4.5%
    →予想EPSと過去3年の平均PER:6.9倍から10年後の株価:1,988.34円とする。そして10年後の株価と購入株価:3,155円より期待収益率を算出

EPS成長率からの期待収益率

「商船三井」のEPS成長率から10年後の予想EPS(1株当たりの利益)を算出した場合、10年後の予想EPSは387.11円と予想できる。この予想をもとに株価:3,155円で「商船三井」株を購入したとるすると、10年後は値上がり益はなく年△1.7%の収益率(配当除く)となる見込みである。

  • EPS平均成長率:4.4%
    →過去10年のEPSをもとに算出
  • 10年後の予想EPS:387.11円
    →EPS成長率と前期のEPSから算出
  • 期待収益率:年△1.7%
    →予想EPSと過去3年の平均PER:6.9倍から10年後の株価:2,671.05円とする。そして10年後の株価と購入株価:3,155円より期待収益率を算出

内部留保による再投資の収益率

「商船三井」の内部留保による再投資の収益率は、年45.4%と想定している。この収益率はかなり良い数字だと僕は認識している。

  • 2013年~2021年のEPS合計額:708.00円
  • 2013年~2021年の1株当たりの配当合計額:156.68円
    →期間中の再投資額:551.32円(708.00円 – 156.68円)
  • 2013年のEPS:0.0円
  • 2021年のEPS:250.50円
    →EPS増分:250.50円(250.50円 – 0.0円)
  • 上記のEPS増分:250.50円
  • 上記の再投資額:551.32円
    →再投資による収益率:45.4%(250.50円 / 551.32円)

まとめ

「商船三井」は「消費者独占型」企業に当たると僕は思っていない。そして「商船三井」の未来の株価についても、計算上は値上がり益が狙えない。本来は購入すべき株ではないのかも知れないが、それでもPER(予):1.8倍で配当利回り(予):10.8%という指標の良さに目がくらみ購入した。

この結果がどうなるのかは僕自身は全く読めない。10年後はどうなっているのだろうか?「商船三井」から貰う配当金を再投資に回しながら、保有していきたい銘柄である。

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