2022/02/24、日経平均は1年3カ月ぶりの安値を付けることになった。この安値の理由は、ロシア軍がウクライナの軍事施設へミサイル攻撃を開始し、ウクライナ情勢がさらに悪化するとの見方が広がったからだ。
こんなときに、僕みたいな凡人以下の投資家が出来ることは「株を買う」ということだけだ。ということで、不動産開発会社の「ディア・ライフ」株を購入することにした。
また世界でも有名なフィナンシャル分野の教授であるジェレミー・シーゲル博士は、暴落があるからこそ株式投資家は大きなリターンを生むことができるとも述べている。ここはシーゲル博士の教えを信じて、勇気をもって株を購入したいと思う。
ディア・ライフ(3245)
2022/02/24に以下の株を購入。
- ディア・ライフ(3245)
不動産開発会社。
508円で100株購入
株価指標とチャート
購入時のPER(予):6.0倍、PBR(実):1.35倍、ROE(実):18.53%、配当利回り(予):6.67%
「ディア・ライフ」は不動産業に分類されており、不動産業全体の市場平均のPERは14.1倍となっている。「ディア・ライフ」の現時点のPER(予):6.0倍となっており、不動産業全体の市場平均と比較してかなりの割安感が伺える状態となっている。
業績の状況
「ディア・ライフ」の売上について、過去10年間はほぼ右肩上がりで年平均で約34.3%の成長率を誇っている。また、今期の売上予想も会社四季報によると増収となる見込みである。
当期利益についても、過去10年間はほぼ右肩上がりで年平均で約59.6%の成長率を誇っている。また、今期の当期利益予想についても前期比19.1%の増益となる見込みである。
当期利益の利益率について、過去10年の平均利益率は約9.3%となっている。この数値は、同じ不動産業の「プレサンスコーポレーション」「サムティ」と比較しても遜色のない数値となっている。
キャッシュフローについては、過去10年でフリーキャッシュフローがマイナスの年が何度もあり、キャッシュフロー的には安定感があると言えない。
配当については、ここ10年は凸凹しながらも右肩上がりの状態である。なお、今期の配当については1株:30円→34円と4円の増配となる見込みである
利益の質
利益の質であるアクルーアル(税引き後利益-営業キャッシュフロー)の状況は、以下の通りである。
※
アクルーアルは税引き後当期純利益(※特別損益を除いた税引き後の利益)を用いるが、確認するのに少し手間なので「ディア・ライフ」の決算書に載っている『親会社の所有者に帰属する当期利益』の数値をそのまま使っている。
- 2019/09月決算 当期利益:2,363百万円 営業CF:△3,165百万円
→アクルーアル:5,528百万円 - 2020/09月決算 当期利益:1,851百万円 営業CF:6,354百万円
→アクルーアル:△4,503百万円 - 2021/09月決算 当期利益:2,686百万円 営業CF:1,752百万円
→アクルーアル:934百万円
アクルーアルは毎年マイナスとなっている訳ではない。ので「ディア・ライフ」は、毎年現金収入を伴った質の高い利益を生み出せる企業と言えない。
黄金銘柄の特徴チェック
世界でも有名なフィナンシャル分野の教授であるジェレミー・シーゲル博士は、市場平均をつねに上回りつづける銘柄を黄金銘柄と名付けおり、黄金銘柄には3つの特徴があると述べている。
「ディア・ライフ」が、この黄金銘柄の3つの特徴に当て嵌まるのか確認してみたところ、ぴったりと条件に当て嵌まるとは言い難い状況であった。
- PERが市場平均をわずかに上回る程度
→「×」、日経平均のPERは16.58倍となっており、「ディア・ライフ」のPER(予):6.0倍となっている。 - 配当利回りが市場平均並み
→「×」、日経平均の平均配当利回りは1.84%となっており、「ディア・ライフ」の配当利回り(予):6.67%となっている。 - 長期的な増益率が市場平均を大幅に上回っている
→「?」、日経平均の増益率を調べてみたが分からなかった。だが「ディア・ライフ」の過去10年の経常利益は年42.3%で、当期利益は年36.2%の成長率を誇っている。市場平均の増益率は不明だが、この「ディア・ライフ」の増益率はかなり良い数字だと個人的には思っている。
また、シーゲル博士は黄金銘柄の特徴として「看板商品にしがみつき、かたくなに品質を守って、市場を海外に広げる方針を貫いている」もあると述べている。この条件について、残念ではあるが「ディア・ライフ」はこの条件に当て嵌まっていないと僕は考えている。
「消費者独占型」企業を見分ける8つの基準チェック
バフェットは、「消費者独占型」企業を見分けることができる8つの基準があると述べている。
「ディア・ライフ」が、この「消費者独占型」企業を見分けるためには8つの基準に当て嵌まるのか確認してみたところ、8つの基準に少しは合致することが確認出来た。
- 消費者独占力を持つと思われる製品・サービスがあるか
→「×」、「ディア・ライフ」の事業を調べてみたが消費者独占力を持つと思われる製品・サービスを見つけることが出来なかった。 - 1株当たり利益(EPS)が力強い増加基調にあるか
→「○」、過去10年の1株当たり利益(EPS)は、年平均約58.7%で成長している。かなり力強い増加基調にあると言える。 - 多額の負債を抱えていないか
→「×」、「ディア・ライフ」の前期の当期利益は2,686百万であった。そして、固定負債は8,185百万円である。「ディア・ライフ」の長期負債は、約4年分の利益で返済が必要なレベルである。 - 株主資本利益率(ROE)は十分に高いか
→「○」、過去5年の株主資本利益率(ROE)は13.8%~25.4%と比較的高い数字を叩き出している。 - 現状を維持するために、内部留保利益の大きな割合を再投資する必要があるか
→「?」、調べてみたがよく分からなかった。 - インフレを価格に転嫁できるか
→「?」、調べてみたがよく分からなかった。 - 内部留保利益の再投資による利益が、株価上昇につながっているか
→「△」、ここ5年の株主資本利益率(ROE)や株価を見ていると、内部留保利益の再投資がまずまずの株価上昇につながっていると言える。
「消費者独占型」企業の4つのタイプチェック
バフェットは、「消費者独占型」企業には以下の4つのタイプに分けられると述べている。
1.長期使用や保存が難しく、強いブランド力を持ち、販売業者が扱わざるをえないような製品を作る事業
「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」より引用
2.他の企業が事業を続けていくために、持続的に使用せざるをえないコミュニケーション関連事業
3.企業や個人が日常的に使用し続けざるをえないサービスを提供する事業
4.宝石・装飾品や家具などの分野で、事実上地域独占力を持っている小売事業
残念だが「ディア・ライフ」は、「消費者独占型」企業のどのタイプにも当て嵌めることは出来なかった。
自社株買戻しの有無
バフェットは、株主になった企業に対して配当よりも自社株買戻しを行うように働きかけている。その理由は、自社株買戻しをおこなうことによって企業のEPSを増加させ、また株価が非常に高い水準の時に行われても株主にとってはメリットが大きいからだと述べている。
「ディア・ライフ」の自社株買戻しの状況を確認してみたところ、自社株買戻しはしているのだが譲渡制限付株式報酬として買い戻した株を役員に割り当てている感じであった。バフェットが言うような自社株買戻しではないと、僕は考えている。
BPS成長率からの期待収益率
「ディア・ライフ」のBPS成長率から10年後の予想BPS(1株当たり純資産)を算出した場合、10年後の予想BPSは5,201.41円となる。株価:508円で「ディア・ライフ」株を購入したとるすると、10年後には約10倍の評価益となり、年26.2%の収益率(配当除く)を叩き出す想定となる。
- BPS成長率:年29.3%
→過去10年のBPSをもとに算出した成長率 - 10年後の予想BPS:5,201.41円
→前期のBPS:398.30円と上記のBPS成長率より算出
↓ - 期待収益率:年26.2%
→10年後の予想BPSと購入株価:508円より算出
将来の予想EPSからの期待収益率
「ディア・ライフ」の10年後の予想EPS(1株当たりの利益)を算出した場合、10年後の予想EPSは165.99円となる。そして、過去3年の平均PERから10年後の株価は1,361.08円と予想できる。この予想をもとに株価:508円で「ディア・ライフ」株を購入したとるすると、10年後には約2.6倍の評価益となり、年10.4%の収益率(配当除く)を叩き出す想定となる。
- ROE:16.5%
→過去3年のEPSとBPSから平均ROEを算出 - 内部留保比率:58.6%、配当比率:41.4%
→過去3年のEPSと1株配当から利益比率を算出 - 10年後の予想BPS:3,267.25円
→ROEと内部留保比率から株主資本成長率:9.7%(16.5% * 58.6%)とする。そして株主資本成長率と去年のBPSから、10年後の予想BPSを算出 - 10年後の予想EPS:165.99円
→10年後の予想BPSとROEから、10年後の予想EPSを算出
↓ - 期待収益率:年10.4%
→予想EPSと過去3年の平均PER:8.2倍から10年後の株価:1,361.08円とする。そして10年後の株価と購入株価:508円より期待収益率を算出
ちなみに年15%の収益率を目指すのであれば、株価:336.44円で購入する必要がある。
EPS成長率からの期待収益率
「ディア・ライフ」のEPS成長率から10年後の予想EPS(1株当たりの利益)を算出した場合、10年後の予想EPSは7,201.43円と予想できる。この予想をもとに株価:508円で「ディア・ライフ」株を購入したとるすると、10年後には約116倍の評価益となり、年60.9%の収益率(配当除く)を叩き出す想定となる。
- EPS平均成長率:58.7%
→過去10年のEPSをもとに算出 - 10年後の予想EPS:7,201.43円
→EPS成長率と前期のEPSから算出
↓ - 期待収益率:年60.9%
→予想EPSと過去3年の平均PER:8.2倍から10年後の株価:59,051.71円とする。そして10年後の株価と購入株価:508円より期待収益率を算出
利益成長か財務操作なのか
「ディア・ライフ」の利益成長が本業によるものなのか財務操作なのかを確認してみた。結果として、EPSの成長率と税引利益の成長率はほぼ同じであり、財務操作による利益成長ではないと考えられる。
- 2011/09決算のEPS:0.7円
- 2021/09決算のEPS:71.0円
→上記のEPSから年平均:58.7%の成長率を確認 - 2011/09決算の当期利益:25百万円
- 2021/09決算の当期利益:2,686百万円
→上記の当期利益から年平均:59.6%の成長率を確認
内部留保による再投資の収益率
「ディア・ライフ」の内部留保による再投資の収益率は、年22.0%と想定している。この収益率は良い数字だと僕は認識している。
- 2017年~2021年のEPS合計額:284.1円
- 2017年~2021年の1株当たりの配当合計額:121.0円
→期間中の再投資額:163.1円(284.1円 – 121.0円) - 2017年のEPS:35.1円
- 2021年のEPS:71.0円
→EPS増分:35.9円(71.0円 – 35.1円)
↓ - 上記のEPS増分:35.9円
- 上記の再投資額:163.1円
→再投資による収益率:22.0%(35.9円 / 163.1円)
バフェットは内部留保による再投資の収益率は15%は最低でも欲しいと述べている。なので「ディア・ライフ」の収益率は良い数字だと言える。
まとめ
「ディア・ライフ」は「消費者独占型」企業に当たると僕は思っていない。だが、株価予想の収益率はかなり良い数字を叩き出している。この数字を信用して、「ディア・ライフ」株を購入することにした。
だが、バフェットは「消費者独占型」企業以外の株を購入することに否定的である。なぜなら「消費者独占型」企業でない場合、長期間右肩上がりの成長が見込めないからだ。
今回、バフェットの教えを無視して「ディア・ライフ」株を購入したことになる。この結果が吉と出るのか、凶と出るのか、楽しみしながら「ディア・ライフ」株を保有したいと思う。
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